脳梗塞の薬物治療!抗血小板薬の効果と副作用について解説

医師、薬、脳梗塞

 

脳梗塞」は、動脈硬化で脳の血管が細くなったり、その血管に血栓(けっせん)がつまったりすることで脳に酸素や栄養が行き届かなくなり、脳の神経細胞が障害を受ける病気です。

脳梗塞を予防するということは、血液の塊である「血栓」ができないようにする必要があります。

 

この血栓を予防するのが「抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)」という薬で、血液中の血小板が固まるのを防ぐことで、血栓の形成を予防することができます。

現在、脳梗塞の治療で使われている代表的な抗血小板薬は、バイアスピリンプラビックスプレタールの3つの薬があり、それぞれ異なった特徴を持っています。

今回は、この3つの代表的な抗血小板薬の特徴的な効果や副作用について解説していきます。

 

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歴史と実績はNo.1!バイアスピリンの効果と副作用

トップバッターの「バイアスピリン®︎」は一般名「アスピリン」という薬ですが、このアスピリンは1897年にリウマチの治療薬として開発された、100年以上の歴史のある薬です。

バイアスピリンの効果を知るためには、まずは血栓ができるメカニズムを知っておく必要があります。

 

まず、血小板に存在する「シクロオキシゲナーゼ1(COX-1)」という酵素によって「トロンボキサンA2」という物質が生成されます。

このトロンボキサンA2が、今度は血小板に作用することで血小板凝集を促進し、血栓を生成することになるのです。

バイアスピリンは血小板に存在るすシクロオキシゲナーゼ1を阻害する作用があり、結果としてトロンボキサンA2の生成が低下し、血小板の凝集も抑制されることになるのです。

 

2009年の欧米で行われた研究で、バイアスピリンを内服しておけば脳梗塞の再発を22%減少させたという結果が出ています。

「22%も!」と考える方もいれば、「たった22%しか・・・」と考える人もいるかもしれませんが、脳梗塞の再発を減少させたことは事実です。

 

そしてバイアスピリンは血液をサラサラにして脳梗塞を予防するため、残念ながら副作用として出血性脳卒中1.67倍増加させるという結果も出ています。

現時点では出血する危険性よりも、脳梗塞の再発を予防する効果の方が優れていると考えられ、脳梗塞治療の主役の薬となっているのです。

 

薬、薬物乱用頭痛

 

安全性ならこの薬!プラビックスの効果と副作用

2つ目の抗血小板薬「プラビックス®︎」は一般名「クロピドグレル」という薬です。

血小板が血栓を作るためには「ADP」と呼ばれる活性物質が血小板に結合する必要があるのですが、プラビックスにはこのADPが結合する部分をブロックすることで、血小板が固まって血栓を作らないようにするという働きがあります。

 

プラビックスもバイアスピリンと同じくらいの脳梗塞予防効果があります。

しかし「糖尿病」や「高コレステロール血症」など脳梗塞のリスクがより高い患者さんでは、プラビックスの方が優れた予防効果があり、消化管出血などの副作用もバイアスピリンより少ないという研究結果が出ています。

またプラビックスは動脈硬化が原因となって手や足の血管がつまる病気に対しても、アスピリンと比べて8.7%もリスクを下げたという結果も出ています。

脳梗塞患者さんの中でも、生活習慣病のひどい方や、全身の血管の動脈硬化が強い患者さんは、副作用も少ないプラビックスが最も適している抗血小板薬になります。

 

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血管を拡げる薬!プレタールの効果と副作用

3つ目の薬は「プレタール®︎」で一般名は「シロスタゾール」という薬です。

血栓の元になる血小板を凝集させないようにする「cAMP」という物質がありますが、このcAMPの邪魔をするのが「ホスホジエステラーゼ3(PDE3)」という物質になります。

プレタールはこのホスホジエステラーゼ3を妨害することによってcAMPの濃度を上昇させて、血小板を凝集させないようにする働きがあります。

 

このプレタールのすごいところは、アスピリンと比べて全脳卒中のリスクを25.7%も低下させ、入院が必要になるような副作用の脳出血を54.2%も減少させたという研究報告があるところです。

しかもこのプレタールという薬は血管を拡げる作用もあるため、脳梗塞の原因となっている脳の血管の狭窄を改善する効果もあります。

 

以上の説明から「脳梗塞の予防薬は、全部プレタールでいいんじゃないの?」って思われる方が多いかもしれません。

確かに、アスピリンよりも脳梗塞を予防する効果が高くて、脳の狭くなった血管も拡げる効果があるし、しかも副作用の脳出血が少ないときたら絶対にプレタールがいい!って思っちゃいますよね?

でもプレタールには注意すべき副作用が2つあるので、以下に挙げてみます。

 

頭痛・・・血管が拡がって脳血流が増えるので、頭が痛くなる。

頻脈・・・動悸がして、心臓の悪い人は狭心症を起こす可能性がある。

 

この2つの副作用があるため、プレタールが使えない患者さんもいるのです。

「頭痛」に関しては、プレタールを半分の量から始めて徐々に慣らしていくといった方法もあります。

どの抗血小板薬も一長一短があるので、患者さんによって使い分ける必要があるのです。

 

脳梗塞の薬物治療まとめ

それでは脳梗塞再発予防のための抗血小板薬をまとめてみます。

まず脳梗塞の標準的な治療はどうなっているのかというと、脳卒中治療ガイドライン2015には以下のように記載されています。

 

現段階で非心原性脳梗塞の再発予防上、最も有効な抗血小板療法はシロスタゾール200mg/日、クロピドグレル75mg/日、アスピリン75〜150mg/日(以上、グレードA)である。

引用:「脳卒中治療ガイドライン2015」より

 

これはどういう意味かというと、心臓から血栓が飛んでくる「心原性脳塞栓」以外の脳梗塞であれば、今回紹介した全ての薬はどれも効果がありますよ!という意味になります。

かといって、どの薬を選択するかを適当に決めることはありません。

 

例えば脳梗塞を起こしたばかりの超急性期の患者さんであれば、即効性のあるアスピリン(バイアスピリン®︎)を内服してもらっています。

また脳の血管が非常に細くて、どんどん脳梗塞が悪化するようなタイプの脳梗塞の患者さんであれば、アスピリンシロスタゾール(プレタール®︎)とか、アスピリンクロピドグレル(プラビックス®︎)のように、2剤使って強力に治療を行う場合もあります。

 

抗血小板薬の使い方は、医師によって異なることがありますが、これら3種類の抗血小板薬はいずれもガイドラインで認められた薬なので安心ですね!

でも一番大切なのは・・・脳梗塞にならないことです

生活習慣にはくれぐれも注意して、暑い夏場の畑仕事やスポーツで汗をかいた時は、必ず水分補給を心がけましょう。

 

それではまた!

 

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