絶対に読んでほしいおすすめ小説!カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』

わたしを離さないで

 

2017年のノーベル文学賞受賞作家、カズオ・イシグロの傑作『わたしを離さないで』を読んでみました。

近未来を舞台にしたSF小説的な作品なのですが、読み進めていくうちに、小説の世界が現実世界と融合していくような強い錯覚を覚えてしまう・・・なんとも不思議な作品です。

またこの小説は、現代社会を生きる我々に強い問題提起もしてくれます。

カズオ・イシグロの作品をまだ読まれていない方は、ぜひこの『わたしを離さないで』から読まれるとよいでしょう!

 

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『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

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カズオ・イシグロの代表作『わたしを離さないで』は、”提供者”と呼ばれる人たちの世話をする”介護人”の女性・キャシーの目を通して、ある施設で生活する子供たちの半生が回送されるというストーリーです。

この施設「ヘールシャム」の真の目的は徐々に明らかになってくるのですが、そこで生活する子供たちは自分の人生に”残酷な終わり方”が待っていることを既に知っています。

ここからは若干【ネタバレ】になってしまいますが、実はヘールシャムで生活する子供たちは、臓器提供のために作られたクローンであり、”提供者”として臓器の摘出が終われば、死ぬだけの存在なのです。

将来、確約された”絶望”というものがあるにも関わらず、ヘールシャムの子供たちはお互いを支え合いながら、濃密な時間を生きていくことになります。

 

この作品のエッセンスがつめられた一文があるので、以下に引用紹介します。

 

新しい世界が足早にやってくる。科学が発達して、効率もいい。古い病気に新しい治療法が見つかる。素晴らしい。でも、無慈悲で、残酷な世界でもある。

そこにこの少女がいた。目を固く閉じて、胸に古い世界をしっかり抱きかかえている。心の中では消えつつある世界だとわかっているのに、それを抱き締めて、離さないで、離さないでと懇願している。

 

『わたしを離さないで』は2005年に発表された長編小説ですが、近未来を描いたSF小説ともミステリー小説とも言える作品です。

しかしこれがSFで終わらない時代がやってきてしまいました!

 

2018年1月25日の朝日新聞に「サルの体細胞から、遺伝的に同じ情報をもつクローン2匹を誕生させることに中国科学院の研究チームが成功した」という衝撃のニュース記事が掲載されました。

霊長類の体細胞からのクローン誕生は世界初で、ヒトでも応用できる可能性があるということですが、現時点では日本を含む多くの国でヒトへの応用は法的に禁じられています。

 

そうなると日本の臓器提供の問題も浮上してきます。

 

日本臓器移植ネットワーク の統計情報によれば、我が国の臓器移植希望者は約13,000人もいるのですが、年間を通して移植を受けられる人は、そのうちのたった2%なんだそうです。

実際に移植手術を受けことができる患者さんは一年間で約200人くらいの計算になりますが、一方アメリカでは毎年20,000件を超える臓器移植が行われています。

臓器移植手術の技術に関しては、決してアメリカに劣るというわけではありませんが、我が国では臓器提供が少ないために、たくさんの患者さんが臓器移植を受けることができずに亡くなっているという現状なのです。

 

このように臓器不足の現状が続き、またその一方でクローン技術の革新や法律の改定などが行われてしまうと、どんな世の中が待っているでしょうか?

まさにカズオ・イシグロの描いた『わたしを離さないで 』の世界が本当にやってくるかもしれません。

 

わたしを離さないで

 

臓器を提供する。

または臓器移植を受ける。

我々はどちらの立場にもなる可能性はあります。

 

臓器提供の問題を解決するために、まずは一人ひとりが臓器提供についてよく考え、自分の家族とも相談した上で”意思表示”をすることから始めなければなりません。

臓器提供の意思は、もちろん”No”でもかまわないと思います。

そんな小さな一歩が、臓器移植を待っている患者さんたちを救うことにつながっていくと信じています ^ ^

 

それではまた!

 

わたしを離さないで