腰椎分離症でも水泳選手を続けることができる!腰痛克服のために実践しているストレッチ・トレーニング法を紹介します♪
「腰椎分離症」とはスポーツなどが原因で腰椎(腰の背骨)に繰り返し負荷がかかり、骨が耐えきれなくなって疲労骨折を起こしてしまうという恐い病気です。
腰痛がひどく競技を続けることが困難となるので、治療のためにはスポーツ競技を中止し、腰にコルセットを装着して何ヶ月も安静にして過ごさなければなりません。
それでは腰椎分離症を起こしてしまったスポーツ選手は、もう二度とそのスポーツに復帰することができないのでしょうか?
今回は小学3年生で腰椎分離症を起こした水泳選手の話です。
オリンピック出場を夢見ているその子が腰痛を克服し、水泳競技に復帰するために実践しているストレッチやトレーニングの具体的な方法などについて紹介します。
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小学3年生で腰椎分離症に・・・そして再発。
今回の主人公は、幼稚園の頃から水泳を習い始めたY君です。
オリンピックに出場することを夢見て、週5日の水泳の練習を頑張り続け、小学2年生の時に選手コースへ昇格することができました。
小学3年生の春、水泳選手としていよいよこれから!という時に・・・激しい腰痛を訴えるようになったのです。
近くの病院の整形外科を受診し、腰のCT検査をしたところ「第5腰椎分離症」と診断されました。
5番目の腰椎が疲労骨折を起こしていて、体を少し動かすだけでもひどい腰痛に襲われる状態です。
治療法は寝る時以外は常に腰にコルセットを装着し、約6ヵ月間の安静ということになりました。
スイミングチームの同級生の中では一番速く泳げていたY君ですが、練習を休んでいる間にまわりの友達はどんどん速くなります。
そしてY君だけは、2年生の時の記録で止まってしまっているのです。
みんな速くなってるのに自分だけ・・・という焦りもありましたが、約8ヵ月のコルセット治療によって骨折した腰椎はなんとか癒合してくれました。
体が背屈する状態になることで腰に負担がかかってしまうバタフライや板キックのような練習をしばらく見合わせて、クロール中心のトレーニングを再開しました。
幸い腰痛の再発はなく、練習を再開して一ヵ月も過ぎる頃にはバタフライの練習もできるようになりました。
そして努力に努力を重ねた結果、自分よりも速くなった同級生の記録にも追いつくことができ、小学校4年生の夏には更に上のクラスの選手コースへと昇級することができたのです。
全国ジュニアオリンピックに出場するために具体的なタイム目標を設定し、日々の練習に励んでいましたが、またもや悪夢が小学4年生の冬に襲ってきました。
第五腰椎分離症の再発です・・・。
あまりの腰痛の激しさに前屈することさえできなくなり、またもや練習を休まなくてはならなくなりました。
再発してしまった腰椎分離症ですが、小学生の時期にこのような怪我を繰り返す可能性がある場合、競技を続けること自体もはや絶望的なのでしょうか?
腰椎分離症のストレッチ・トレーニング法について
「腰椎分離症」は体が柔らかい10才前後の子供が、腰をそらしたり回旋運動などを繰り返し行うことで負担がかかり、腰椎の後ろの部分にヒビ(疲労骨折)が入ることで起こります。
好発部位は一番下の第5腰椎です。
一般の人にも約5%程度の頻度で腰椎分離症が見つかることがありますが、スポーツ選手に至っては約30〜40%の人が腰椎分離症になっているという報告もあります。
症状は主に腰痛ですが、ひどくなると下肢の痺れや痛みが出てくることもあります。
腰椎分離症が徐々に悪化すると「腰椎分離すべり症」となってしまい、場合によっては手術が必要になります。
腰椎分離症が起こり始めたばかりの時期であれば、まず原因となるポーツを休止し、腰にコルセットを装着して腰椎のひびの部分に力がかからないようにすれば、約6ヶ月ほどで骨が癒合して治る可能性があります。
ただしY君のように腰椎分離症が再発してしまった場合は、残念ながら骨がもう一度くっつく可能性は絶望的になります。
それでは腰椎分離症が再発してしまったスポーツ選手は、もう二度と選手として復帰することができないのでしょうか?
結論から言えば、スポーツ復帰は可能です。
Y君・・・実は私アキラッチョの実の息子なのですが、まず本人が水泳というスポーツを続けたいかどうかを確認してみたところ、腰が痛いはずなのに「水泳を続けたい!」と即答されてしまいました。
水泳が本当に大好きなんでしょうね ^ ^
水泳を続けるのであれば競技として続けたいのか、それとも生涯スポーツとして続けたいのか、この点について本人の意志を確認したところ「水泳選手(すなわち競技)として水泳を続けたい!」と、強い返事が返ってきました。
腰椎分離症が悪化した場合、腰痛だけでなく下肢の症状も出てくる危険性もあり、実の親としては心が痛む思いでした。
しかし本人の強い気持ちをできるだけ尊重しようと決心し、それならどうすれば腰椎分離症が再発した水泳選手が競技に復帰できるかということを、とことんつきつめて実践することにしたのです。
腰椎分離症が再発し、骨癒合が望めなくなったY君が、水泳競技を続けるために現在も実践していることを以下にまとめてみます。
✅ 体を後ろに反らす動作が必要なバタフライは禁止 ✅ 腰痛がひどくなる場合はすぐに練習を中止する ✅ 股関節の柔軟性をアップするためのストレッチ ✅ 腰を支えているインナーマッスルの強化 ✅ 練習後のマッサージ |
腰椎分離症の再発が発覚してから一週間ほど練習を休みましたが、以上の5点を徹底することで、競技者として練習を続けることにしました。
まず、体を後ろへ大きく反らす動作が必要とされるバタフライを(本人が泳ぎたいと言っても)禁止しました。
そして当面の間はクロールと背泳ぎのみの練習で、腰痛が強くなってくる場合は早めに練習を中止するようにしています。
また水泳の練習と同時平行で、腰への負担が軽減するようにストレッチと筋力トレーニングを徹底的に行なっています
バタフライのように上半身を後ろへ大きく反らす動作を行う場合、腰だけでなく股関節の柔軟性が重要になります。
腰だけでなく、腰と股関節の両方を使って上半身を反らすことができれば、腰への負担が少なくなるという理屈です。
股関節前面にある腸腰筋という筋肉が硬いと、上半身を後ろへそらした時に全て腰へ負担がかかってしまうため、腸腰筋のストレッチは入念に行います。

後ろに伸ばしている脚の付け根の筋肉(腸腰筋)をしっかり伸ばす。
息継ぎをする際に体をひねる動作が必要になりますが、この動きを阻害して腰に負担がかからないように、骨盤に付いている広背筋や大臀筋のストレッチも十分行います。

体を前へ倒すことで、膝を曲げている方の背中の筋肉(広背筋など)を伸ばす。
続いて、腰を支えているインナーマッスルの強化に関しては、体幹を安定させて腰に負担がかからないようにするという重要な役割があります。
強化すべきインナーマッスルは①腹横筋、②多裂筋、③大腰筋の3つです。
まず①腹横筋の役割ですが、コルセットのようにお腹を引き締めて、腰を安定させる働きがあります。
この腹横筋を鍛えるトレーニングがドローインになります。

下腹部を凹ませ、お腹の表面を平にしたまま背中を床に押しつける。
また腹横筋だけでなく、腹筋や背筋も同時に鍛えることができるプランク(フロントブリッジ)も行います。

両肘と両つま先で支持し、腹圧を入れて体を一直線に保つ。
次に②多裂筋ですが、背骨全体に付着している筋肉で、背骨をつないで安定させる役割を持っています。
この多裂筋を鍛えることで背骨を安定させることができるため、体幹の姿勢が安定します。

四つん這いの状態から右手と左脚を上げて一直線にし数十秒間保つ。左右どちらも行う。
最後に③大腰筋ですが、股関節を屈曲する時に使う筋群の総称ですが、姿勢を整えて背骨を安定させるためにとても重要な働きをしています。
この大腰筋を鍛えるトレーニング法がV字バランスです。

仰向けの状態から上半身と両下肢を少し上げた姿勢を5秒間保持する運動を繰り返す。 両肩をしっかりと前方へ上げるとより効果的。
大腰筋だけでなく、腹筋群も腰に負担をかけることなく鍛えることができるため、腰痛を抱えている方にはオススメのトレーニングになります。
水泳の練習がないオフの日だけでなく、練習が比較的早く終わる日には、これらのストレッチと筋力トレーニングを必ず行うようにしています。
また水泳の練習のある日は、夜寝る前に必ず腰や背中・両下肢のマッサージとツボ押しを必ず行うようにしています。
練習でクタクタになっているので、そのまま眠ってしまうこともよくありますが、息子の可愛い寝顔を見てると本当に幸せな気分になります。
腰椎分離症という怪我をし、そして再発してしまったのは非常に残念ですが、一緒にストレッチや筋力トレーニング、そしてマッサージの時間を過ごすことができるようになったのは、神様からのプレゼントとして前向きに考えるようにしています ^ ^
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腰椎分離症でも水泳選手を続けることができる!
腰椎分離症を起こし、そして再発してしまった子供でも、選手として水泳を続けることができます。
我が家で取り組んでいる方法を以下にもう一度まとめます。
✅ 体を後ろに反らす動作が必要なバタフライは禁止 ✅ 腰痛がひどくなる場合はすぐに練習を中止する ✅ 股関節の柔軟性をアップするためのストレッチ → ①腸腰筋、②広背筋、③大臀筋 ✅ 腰を支えているインナーマッスルの強化 → ①腹横筋(ドローイン、プランク) → ②多裂筋 → ③大腰筋(V字バランス) ✅ 練習後のマッサージ |
スイミングチームのコーチとも十分相談し、毎日根気強くこれらのことを実践していく必要がありますが、何よりも選手本人の気持ちが重要です。
まだまだオリンピックの舞台に立つことができるような実力はありませんが、夢を見ることや目標を持つことは自由です。
どんなことにも共通して言えることなのですが、最初から「無理」と思ってしまうとスタート地点に立つことすらできません。
腰椎分離症という困難な怪我を抱えていても、目標を持って取り組んで行けば、少しずつでもゴールに近づくことができるはずです。
これからも夢実現のため、みんなでサポートを続けようと思っています ^ ^
それではまた!