脳卒中センターで24時間働き続けていた時に感じた「子供の優しさ」
「Kindness(優しさ)」
人を憂う思いが
優しさの花を咲かせる
アーサー・ホーランド『WALK ACROSS』より
北海道のゴッドハンドの下で、手術の修行をしていた時の話です。
日本中から集まってくる治療困難な脳疾患の患者さんだけでなく、どんな救急患者さんもすべて受けいれて、夜間休日関係なしで手術をし続ける毎日を送っていました。
24時間365日、まさにその”字面”の通り働いていました。
仕事が終わるのはいつも深夜・・・。
なんとか翌日の未明には帰宅し、2〜3時間寝てから出勤という毎日だったので、息子たち2人(当時、4歳と2歳)に会うのは朝食の時だけという生活でした。
そんな忙しい父親の姿を見ていて、子供なりに思うことはたくさんあったのかもしれません。
今回は北海道時代の自分の日記の中から、子供の「優しさ(Kindness)」をしみじみと感じたときの話を紹介しようと思います。
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お兄ちゃん(4歳)
今朝出勤するときに、玄関まで僕を追いかけてきて、ポケットに隠し持っていたアメを僕の方へ差し出してきた。
何を言うかと思いきや、「父ちゃん、しんどい時はアメ舐めたらええんや。これあげるわ」と。
当直や手術で疲れきっていたのは事実であるが、そんなにしんどそうに見えるかなと、少し反省。
しかし、久しぶりに元気が出た朝だった。
お兄ちゃん(4歳)
連日連夜の緊急手術。
家を出る前に息子(お兄ちゃん)が僕を玄関まで追いかけてきて、アンパンマンの水筒を僕の首にかけてくれた。
そして「喉乾いた時にはお茶飲むんやで」と言って僕を送り出してくれた。
中身は・・・空っぽだったけど(笑)
お兄ちゃん(4歳)
夜中に帰ってきて、朝早く起きることができなかった時の話。
午前6時くらいに息子(お兄ちゃん)が僕の横に寝転がってきたのには気がついていたが、睡眠不足で起きることができなかった。
どれくらい眠ったのかわからなかったが、もう一度目覚めた時、息子が僕の方を向いて笑顔で寝転がっているのに気がついた。そして開口一番。
「ロボット作って、父ちゃん」
作りかけのプラモデルを一緒に作って欲しかったので、僕が起きるのをずっと横で待ってたみたいである。
時刻は午前7時30分。
疲れて寝ていたのをわかっていたのか、僕を起こさずに1時間以上ずっと顔を見ながら待っていてくれたみたいである。
お兄ちゃん(4歳)
出張先の北見市へ出発する朝、息子(お兄ちゃん)から僕の靴下を渡された。
受け取ってみると、ほんのり温かかった。
靴下が冷たかったから、自分のお腹で温めていたと言って、いつも通りニコニコ笑っていた。
弟(2歳)
緊急手術が入り、朝何も食べずに出かけようとしていたら、息子(弟)がナイロン袋にパンをいっぱいに詰め込んで、黙って僕に渡してきた。
お兄ちゃん(4歳)
今朝出勤するときに「父ちゃんと一緒に暮らしたい。」と言われた。
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北海道時代の日記を読み返してみて、当時4歳と2歳だった自分の息子たちの「優しさ(Kindness)」をしみじみと感じることができます。
脳神経外科医としては大きく成長することができましたが、父親としては全然失格だったかもしれません・・・。
家庭のことを顧みず、10年以上脳神経外科医として走り続けてきましたが、これからはよき父親であり、よき夫になれるように努力しなきゃダメですね ^ ^
「人を憂う思いが 優しさの花を咲かせる」
まずは自分のことを憂い、自分に優しくなることが必要なのかもしれません。
みなさんも働きすぎて、大切なものを失わないようにご注意くださいね♪
それではまた!
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