脳梗塞の点滴治療はこの3つ!効果と副作用について解説

点滴、血栓溶解療法

脳の血管が血栓で突然つまってしまう恐い病気「脳梗塞」の治療は、発症してから4時間30分以内であればt-PAによる血栓溶解療法を行うことが可能です。

それではもし4時間30分を越えてしまった場合は、もう治療することができないのでしょうか?

脳梗塞を起こして救急車で運ばれてくる患者さんの中には、前の日から手足が動かしにくかったという患者さんもいますし、山奥の田舎から何時間もかけて車で来院する患者さんもいます。

このように時間が経ち過ぎてt-PAによる血栓溶解療法ができない患者さんには、次の一手となる「エダラボン」「オザグレル」「アルガトロバン」による治療を行うことができます。

今回は4時間30分を越えてしまった時の脳梗塞点滴治療を中心に解説していきます。

 

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どんな脳梗塞にも効く万能薬!エダラボン

脳梗塞を起こした時は、血流不足で酸素が足りなくなるだけではありません。

脳梗塞を起こした領域には「フリーラジカル」と呼ばれる”細胞を障害する物質”が増えてくるのです。

フリーラジカルは、脳神経細胞を酸化することで脳梗塞を起こした脳へのダメージを更に悪化させます。

このフリーラジカルをやっつけてくれるのが「エダラボン(商品名:ラジカット®︎)」という点滴薬なのです。

 

抗酸化薬「エダラボン」の効果と適応

エダラボンは別名「抗酸化薬」とも言われており、その効果を簡単に説明するならば「酸化されやすい物質」ということになります。

酸化されやすい物質であるエダラボンを点滴で入れておけば、脳神経細胞の代わりにエダラボンが先に酸化されてくれるので、フリーラジカルによる脳神経細胞のダメージが最小限に食いとどめられるのです。

 

脳梗塞を発症してから24時間以内であればエダラボンの点滴治療を行うことができます。

できるだけ早くエダラボン点滴治療を開始した方が治療効果があり、t-PAによる血栓溶解療法を行う場合でもエダラボンを併用すると治療効果が良好であったという報告もあるくらいです。

ただし脳梗塞を発症してから24時間を過ぎてしまっている場合は、エダラボンの点滴治療を行うことは認められていません。

あまりにも時間が経過してしまった場合は、フリーラジカルによる障害が完成してしまうためです。

またエダラボンの投与期間は最長で14日間となっていますが、症状が安定している患者さんであれば、一週間くらいでエダラボン点滴治療を終了する人もいます。

 

脳出血

 

エダラボンの副作用

エダラボンはどのタイプの脳梗塞でも投与することができる万能薬ですが、気をつけなければならない副作用があります。

中でも最も心配される副作用は「腎機能障害」です。

エダラボン点滴治療を行うことで、おしっこを作る臓器である腎臓の機能が悪化することがあります。

 

腎臓以外でも「肝臓」の機能が障害されたり、血小板や顆粒球が減少する「血液の病気」などを起こす場合もあります。

エダラボンの点滴治療を行なっている間は時々血液検査を行なって、腎臓や肝臓の機能が悪化していないかどうかを調べる必要があります。

 

血液をサラサラにして脳梗塞の悪化を防ぐ!オザグレル

2つ目の薬は抗血小板薬の「オザグレル」です。

脳梗塞を起こした時は、脳の血管の中に血栓ができるのですが、この血栓は主に血液中の「フィブリン」と「血小板」から形成されます。

このうち、血小板の方を凝集させて固める作用をもつトロンボキサンA2と呼ばれる物質があるのですが、オザグレルはこのトロンボキサンA2の生成を抑えることで、血小板が固まって血栓を作るのを妨げるというはたらきをします。

 

抗血小板薬オザグレルですが、脳梗塞を発症してから5日以内であれば点滴治療をしてもよいことになっているので、脳梗塞患者さんの心強い味方になってくれます。

血小板が固まってできる血栓が原因となる「ラクナ梗塞」や「アテローム血栓性梗塞」の治療は、このオザグレルと先ほどのエダラボンを組み合わせた点滴を1〜2週間行うことで、脳梗塞の悪化を予防します。

 

ただしこのオザグレルは血小板が固まりにくくなってしまうので、副作用としては「出血」に気をつけなければなりません。

脳梗塞の治療を行うためにオザグレル点滴治療で血液をサラサラにしていたら、脳出血消化管出血などを起こしてしまう患者さんもいるので注意が必要です。

 

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大きな脳梗塞はアルガトロバンで治療!

3つ目の薬は、大きさが1.5cm以上比較的大きな脳梗塞に効果がある「アルガトロバン」です。

比較的太めの脳血管に血栓ができるようなタイプの脳梗塞に最適な薬になります。

 

アルガトロバンは、血液中で「トロンビン」という物質に選択的に結合します。

アルガトロバンがトロンビンにピタッとくっついて、トロンビンのはたらきを妨害するというイメージです。

このトロンビンは血栓の材料になるフィブリンを生成するはたらきがあるので、アルガトロバンにピタッとくっつかれて仕事の妨害をされてしまうと、血栓の材料になるフィブリンを作ることができなくなってしまうのです。

このはたらきによって血栓の形成を予防し、脳梗塞の悪化を防ぐことになるのです。

その他にも、アルガトロバンには血小板が固まるのを阻害したり、血管がキューっと狭くなるのを阻害するといった優れた効果があることもわかっています。

 

このアルガトロバンは脳梗塞を発症してから48時間以内であれば、点滴治療を開始することができます。

1.5cm以上の大きな脳梗塞の点滴治療は、このアルガトロバンと先ほどのエダラボンを組み合わせた点滴を行うのが一般的です。

 

血液をサラサラにすることで、大きな脳梗塞に優れた治療効果を発揮するこのアルガトロバンも、副作用の「出血」には気をつけなければなりません。

 

点滴、脳出血、合併症、脳梗塞

 

脳梗塞点滴治療のまとめ

脳梗塞の点滴治療ですが、まずどんなタイプの脳梗塞でも発症から4時間30分以内であれば、t-PAによる血栓溶解療法を考えます。

血栓溶解療法を行う場合には、フリーラジカルをやっつけてくれるエダラボンを同時に使うと、より治療効果が高まります。

 

※「t-PAによる血栓溶解療法」の詳しい話はこちらの記事へ→

 

また発症から4時間30分を越えてしまった脳梗塞に対しては、血栓溶解療法の代わりにオザグレルアルガトロバンによる点滴治療を行います。

いずれの薬も脳梗塞の増悪予防に優れており、万能薬であるエダラボンと組み合わせて使うことになります。

オザグレルであれば5日以内、アルガトロバンであれば2日以内の発症であれば、点滴治療効果が期待できますが、もちろん治療開始が早いに越したことはありません。

 

脳梗塞という病気は一分一秒を争う病気です。

実際に急性期脳梗塞の患者さんが病院に救急搬送されてきたら、「t-PAモード」といって血栓溶解療法を行うためにその患者さんの診察・検査・治療が最優先になります。

予約でMRI検査を受けている患者さんに、途中でMRI検査装置から出てもらうこともあります。

 

脳梗塞治療に関する言葉があります。

Time is brain.

これはアメリカ合衆国建国の父の一人、ベンジャミン・フランクリンの「 Time is money. 」から引用された言葉です。

脳梗塞治療までの時間をどんどん浪費していたら、脳がそれだけ深刻なダメージを負うことになるという意味です。

突然手足の痺れが出たり、呂律が回らなくなったらすぐに病院を受診する必要があります。

 

「今日は日曜日で病院休みだから、明日にしようかな・・・」

 

「もう夜中だし、明日の朝になったら病院に行こうかな・・・」

 

「救急車呼んだら近所迷惑だし、娘(車で30分くらいのところに住んでいる)に来てもらってから病院に行こうかな・・・」

 

もし脳梗塞なら、これでは治療が間に合いません!!

 

Time is brain.

早ければ早いほど、脳梗塞治療の選択肢と助かる可能性が増えます。

おかしいな?と感じた時は、病院を受診することや救急車に来てもらうことを、決してためらわないようにしましょう。

 

それではまた!

 

看護師