くも膜下出血

脳動脈瘤の治療法が「医者によって全然違う」ってことを知ってますか?

脳動脈瘤の治療方針

 

「脳動脈瘤」とは脳の血管にできた「コブ」のことで、もし破裂してしまうと命に関わる病気の「くも膜下出血」を起こしてしまいます。

そして、健康な人でも脳のMRI検査をするとたまたま見つかってしまうことがあります・・・。

この脳動脈瘤(=未破裂脳動脈瘤)ですが、実は発見したお医者さんによって全然違う治療法が選択される場合があるというのを、みなさんあまりご存知ではないかと思います。

全国どこでも標準的で同じ治療が受けることができるように『脳卒中治療ガイドライン〈2015〉追補2017対応 』というルール本みたいなものもあるのですが、はっきり言って「そんなの関係ねぇぇ!」というお医者さんもいるのが現状です。

まずは、脳動脈瘤というものをわかりやすく3つにざっくり分類してみましょう。

 

【脳動脈瘤の種類】

小さな脳動脈瘤

大きさが3mm以下で、放っておいてもまず破裂しない(であろう)サイズの脳動脈瘤

中くらいの脳動脈瘤

大きさが4〜5mmくらいで、もしかしたら(年に1%くらいの確率で)破裂するかもしれないサイズの脳動脈瘤

大きな脳動脈瘤

大きさが10mm以上で、放っておいたら絶対に破裂する脳動脈瘤

 

また脳動脈瘤の治療法についても、次の3つに大きく分けることができます。

 

【脳動脈瘤の治療法】

A. クリッピング手術

全身麻酔で頭を開き、脳動脈瘤にクリップをかけて破裂しないようにする開頭手術。

B. コイル塞栓術

カテーテルという細いチューブを使って、血管の中から脳動脈瘤に針金を巻き込んで、破裂しないようにする血管内手術。

C. 何もしない

(文字通りです)

 

「敵(脳動脈瘤)」と戦うための「武器(治療法)」は出揃いましたが、日本全国すべての脳神経外科医が「同じ敵」に対して「同じ武器」を使うわけではありません

本当にびっくりするくらい違います(笑)

 

くも膜下出血、治療、水頭症

 

例えば敵が①の「小さな脳動脈瘤」の場合、ほとんどの脳神経外科医はCの「何もしない」を選びます

普通の脳神経外科医って結構忙しいので、破裂もしないような小さな脳動脈瘤なんて相手をしている暇なんて正直言ってありません。

手術をすればもちろん失敗するリスクもあるし、する必要性のない手術にエネルギーを注ぐくらいだったら、病棟の仕事を少しでもこなして看護師さんに叱られないようにする方がよっぽどマシかもしれません・・・。(お医者さんの現実です)

しかし脳神経外科医の中には「たとえ小さな脳動脈瘤でも破裂する確率が0.001%でもあるなら、絶対に治療しなければダメだ!」という激アツのお医者さんもいます。

このような情熱のある先生ならば、自分の命を預けてもよいかもしれませんね ^ ^

(実際、小さな脳動脈瘤でも破れることがあるので・・・)

 

次は、治療すべきかどうか悩ましい大きさの②「中くらいの脳動脈瘤」の場合ですが、手術やカテーテル治療が好きな先生であれば、ちょっと押し気味に手術を勧めてくると思います

一方で、あまり手術が得意ではない先生や、手術に対して消極的な先生であれば、「破裂する確率なんてめっちゃ低いんだから、手術なんてやる意味ないよ」って、MRI検査のみの経過観察になります。

どちらが正解か?なんて、はっきり言って僕にはわかりません。

ただ確実に言えることは、自分の担当になった先生次第で、手術やカテーテル治療にもっていかれるか、それともMRI検査だけの経過観察になるか、大きな分かれ道になることは確かです。

 

最後は、破裂のリスクが非常に高く、しかも治療するのがとても難しい③「大きな脳動脈瘤」の場合です。

普通の脳神経外科医では手が出せないような脳動脈瘤の場合であれば、通常は全国的にも有名な先生のいる病院へ紹介となります

しかし!しかし・・・です。

とても危険な脳動脈瘤にも関わらず、しかも自分にはその脳動脈瘤を治療する実力もないのに、「この脳動脈瘤は治療をすること自体が危険で、手術をすると死んでしまいます」と患者さんを恐怖のどん底に突き落とし、治療をしてもらえる適切な病院へ紹介もすることなく、外来通院のみで「宙ぶらりんの状態」にしてしまうような先生も実際にいます。

 

治療しなければ命の危険がぁ!

でも、治療したらあなたは死んじゃうかもよ!

なので、僕(または私)と一緒に脳動脈瘤が破裂しないように外来通院しながらお祈りしましょう・・・。

 

といったように、トークで丸め込まれてしまうような患者さんもいます。

まあでも、何がその患者さんにとって幸せなのかはわかりませんが、自分が診てもらう先生によって治療方針なんて180度(以上)変わってくるってことは知っておいた方がよいかもしれません。

だって、脳神経外科医も人間なのですから ^ ^

 

医師、アキラッチョ

それではまた!

 

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