おでこのところがズキズキと痛くなる前頭部頭痛を経験されたことのある方は、いらっしゃると思います。
この前頭部頭痛ですが、脳が原因ではないことがあります。
今回は前頭部のズキズキする頭痛について、その原因と対処法について解説します。
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【目次】
前頭部のズキズキする頭痛【4つの原因】
前頭部がズキズキとする頭痛には、主に4つの原因があります。
外来診療をしていると、毎日のように前頭部頭痛の患者さんはたくさん来られます。
前頭部頭痛の原因として多いものから順番に紹介していきます。
1. ストレス
前頭部頭痛の原因として最も多いものが「ストレス」です。
適度なストレスは、仕事や勉強に対する集中力を高めるのに必要となりますが、このストレスが蓄積してくると前頭部を中心にズキズキとした頭痛が起こります。
これはストレスによって「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンの量が増えるためです。
コルチゾールの作用により血圧が高くなったり、脳の血管が収縮・拡張を起こすため前頭部の頭痛が起こります。
またストレスは自律神経のバランスを狂わせます。
ストレスによって自律神経の一つである交感神経が必要以上に活性化してしまうため、筋肉や血管の緊張が過剰となり、前頭部の頭痛を引き起こすことになります。
2. 眼精疲労(目の疲れ)
次に多い原因は「眼精疲労(がんせいひろう)」です。
長時間にわたるパソコンでの作業などで目を酷使することで、眼精疲労と呼ばれるひどい目の疲れを起こします。
眼精疲労は「ドライアイ」や「目のかすみ」を起こすだけでなく、ひどくなると「視力の低下」や「前頭部の頭痛」を起こします。
パソコンやスマートフォンなどは生活の必需品となっているため、眼精疲労は注意しなければならない現代病の一つです。
3. 副鼻腔炎(ちくのう症)
「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」すなわち「ちくのう症」は鼻の病気なのですが、実はこの副鼻腔炎でも前頭部のズキズキした頭痛が起こります。
顔や前頭部の骨の中には「副鼻腔(ふくびくう)」と呼ばれる空洞が存在します。
この副鼻腔に感染や炎症が起こり、膿(うみ)が溜まる状態が副鼻腔炎になります。
前方にうつむいた時に前頭部の痛みがひどくなったり、鼻水の量が増えて色や匂いが悪くなるようであれば、前頭部の頭痛は副鼻腔炎である可能性が高いです。
4. 群発頭痛
片方の目の奥を中心に、前頭部にズキズキと激しい頭痛を起こす場合は「群発頭痛」です。
あまりの頭痛の激しさに自殺したくなる・・・ということで「自殺頭痛」とも呼ばれます。
この群発頭痛ですが、残念ながら市販されている痛み止めの薬は効きません。
早めに病院を受診して治療することをオススメします。
前頭部頭痛の対処法4つ
前頭部の頭痛が起こった場合はどのように対処すればよいのでしょうか?
ずっと我慢し続けるというのも結構ツライですよね・・・。
それでは前頭部のズキズキする頭痛の対処法を4つ紹介していきます。
1. 目を休める
まずはすぐにできる対処法として「目を休める」ことをお勧めします。
前頭部の頭痛は「ストレス」や「目の疲れ」が原因となって起こることが最も多いので、目を休めることで頭痛症状の改善が期待できます。
長時間にわたるデスクワークやパソコンでの作業をしている場合であれば、約30分を目安に休憩をとるようにして、ストレッチや簡単な体操をするようにしてみましょう。
できればデスクから離れて行う方がよいでしょう。
また気づかないうちにパソコンの画面を見続けてしまうことがあります。眼精疲労やドライアイを予防するためにも、意識的にまばたきをすることを心がけてみましょう。
2. 冷やす
冷やした濡れタオルなどで、前頭部や目のまわりを10分間ほど冷やしてみましょう。
冷やすことによって目の疲れを解消することが、前頭部の頭痛の改善につながります。
また「副鼻腔炎」や「群発頭痛」が原因の場合でも冷やすことをお勧めします。
前頭部を冷やすことにより、炎症を抑えたり血管を収縮させることができるため、頭痛症状の改善が期待できます。
3. ツボ
顔や首の後ろには、前頭部の頭痛を和らげる効果のある「ツボ」があります。
以下に紹介します。
・天柱(てんちゅう):首の後ろの筋肉の外側で、髪の毛の生え際にあるツボ
・風池(ふうち):天柱ツボの指一本分外側のくぼみにあるツボ
・陽白(ようはく):眉毛の中心から指一本分上のくぼみにあるツボ
・太陽(たいよう):目と眉の中間点から指二本分外側のくぼみにあるツボ
これら4つのツボをゆっくりとおすことで、前頭部の頭痛が改善します。
ぜひ、一度試してみてください^ ^
4. 薬を飲む
どうしても頭痛がよくならない場合は、痛み止めの薬を飲むしかありません。
しかし「群発頭痛」が原因の時は、市販の痛み止めでは治らないので、あまりにも頭痛がひどい場合は病院を受診するしかありません。
また前頭部の頭痛は「眼精疲労」や「ドライアイ」が原因となっている場合が多いので、人工涙液の目薬を使ってみてもよいでしょう。
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これは危険!放っておけない前頭部頭痛の原因3つ
前頭部のズキズキする頭痛の中には、放っておくと生命に関わるような危険な脳の病気が原因となっていることがあります。
「これは危険!放っておけない前頭頭痛の原因」を3つ紹介します。
1. くも膜下出血
突然、前頭部を「バットで殴られたような激しい頭痛」におそわれた時は「くも膜下出血」の可能性があります。
くも膜下出血は、脳の血管にできた「脳動脈瘤」と呼ばれるコブが突然破裂して、頭の中に出血を起こす危険な病気です。
破裂した時に、前頭部の激しい頭痛を起こす脳動脈瘤は以下の2つがあります。
・前交通動脈瘤
・遠位部前大脳動脈瘤
いずれの脳動脈瘤も頭の前の方にできます。
破裂した時の衝撃が少ない場合は、救急車ではなく歩いて病院を受診する方もいます。
動脈瘤が再破裂すると生命に関わってくるため、突然の前頭部の頭痛におそわれた時は、例え大丈夫と思っても必ず救急車を呼ぶようにしましょう。
2. 脳動脈解離(のうどうみゃくかいり)
脳の血管が突然裂けて、頭の中に出血をしたり、逆に血管がつまって脳梗塞を起こすことのある病気が「脳動脈解離」です。
この脳動脈解離も突然の頭痛を起こすという特徴があります。
脳動脈解離は再出血をする確率が非常に高く、こちらも緊急で治療をする必要があります。
3. 緑内障
前頭部の頭痛なのに目の病気!?と思われる方も多いはずです。
前頭部の頭痛とともに、以下に挙げる症状が合併する時は「緑内障」の可能性があります。
・視野の一部が欠けて、モノが見えにくくなる
・目が充血して赤くなる
・吐き気がする
「緑内障」は病状の進行が早く、一度視力を失ってしまうと元に戻りません。
頭痛を我慢していると目が見えなくなってしまう可能性があるということです。
頭痛とともにこれらの症状に気がついたら、すぐに眼科を受診しましょう。
前頭部頭痛のまとめ【医師からのアドバイス】
前頭部頭痛の中で特に危険な「くも膜下出血」と「脳動脈解離」は突然の頭痛が特徴です。
救急車で搬送されてくる患者さんは(意識がある場合ですが)
「○△□してた時に”急に”頭が痛くなったんです・・・うぅぅぅ・・・」
といった感じで、頭が痛くなった瞬間を覚えていることが多いです。
再破裂して2回目の出血を起こすと生命に関わるので、突然の前頭部頭痛を起こした時は、迷わず救急車を呼んでください!
また前頭部の頭痛の中には、鼻の病気(副鼻腔炎)や目の病気(緑内障)など頭以外の原因がる場合もあります。
これらの病気も手遅れにならないうちに治療をしなければなりません。
前頭部の頭痛以外の症状にもご注意ください!
それではまた!