後頭部の頭痛が続くため、つらい日々を過ごされている方がいると思います。
また後頭部の頭痛だけでなく、首肩の痛みや、吐き気・めまいなども起こることがあります。
何か悪い病気の前兆ではないか?と心配になり、病院を受診される患者さんが後を絶ちません。
今回はこの後頭部の頭痛が起こる原因や対処法について解説していきます。
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【目次】
後頭部に頭痛が起こる3つの原因
「後頭部の頭痛」と一言で言っても痛み方はさまざまなものがあります。
ズキズキと痛くなったり、重苦しい痛みであったり、ピリピリと痛くなったり・・・。
これは後頭部の頭痛を起こす原因がそれぞれ異なっているからなのです。
まずは後頭部の頭痛の中でも、原因として頻度の高いものを3つ挙げて解説します。
1. 緊張型頭痛
後頭部の頭痛の原因として最も多いのが「緊張型頭痛」です。
緊張型頭痛の患者さんは日本全国で約800万人もいると推定されています。
同じ姿勢での長時間にわたるデスクワークや、手先の細かい作業が原因となって、肩や首の筋肉が過度に緊張して硬くなります。
その結果、肩こりや首のコリがひどくなり、緊張型頭痛を起こしてしまうのです。
2. 後頭神経痛
後頭部の頭皮の中には「後頭神経」と呼ばれる神経が走行しています。
後頭神経は頭皮の感覚を伝える「感覚神経」ですが、この神経に負担がかかったり炎症を起こしたりすると「後頭神経痛」と呼ばれる神経痛を起こします。
後頭神経痛を起こす原因を挙げてみます。
・後頭部を強打する
・長時間にわたって無理な姿勢を続ける
・首の骨に変形などがある
・ヘルペスウイルスに感染する(体力が低下している時)
また「後頭神経痛」の痛みの特徴を3つ挙げてみます。
・後頭部に触れると痛みが走る
・電気が走るようなピリっとした痛みが走る
・後頭部から頭頂部に向けて痛みが走る
患者さんの中には「髪の毛に触れるだけでも電気が走るような痛みがある!」と言われる方もいます。
あくまでも頭皮の神経の痛みなので、頭の中に病気があるわけではありません。
3. 片頭痛
「片頭痛」と言えばこめかみのところが脈を打つように、ズキンズキンと激しく痛くなる頭痛です。
しかしこの片頭痛の中には、こめかみのところの痛みが後頭部に放散し、後頭部の強い頭痛からはじまるタイプのものもあります。
後頭部に頭痛を感じた後で、頭全体やこめかみに脈を打つようなズキンズキンとした頭痛へと変化していくタイプの頭痛は、片頭痛の可能性が高いです。
後頭部に頭痛が起きた時の対処法4つ
後頭部の頭痛が続いて治らない時の対処法を4つ紹介します。
1. マッサージ・ストレッチ
後頭部の頭痛の原因として最も多いものが「緊張型頭痛」です。
緊張型頭痛は肩こりがや首のコリが原因となるので、筋肉の緊張をほぐすためにマッサージやストレッチをお勧めします。
肩を大きく回す運動や、首を前後左右にゆっくり深く傾けるようなストレッチを行ってみましょう。
2. 温める
首や肩まわりの筋肉をホットタオルで温めたり、ゆっくりと時間をかけて入浴してみてください。
筋肉を温めることで血行が改善し、疲労物質「乳酸」の排出が十分に行われるようになります。
血行がよくなれば、緊張型頭痛による後頭部の頭痛の悪化を予防することができます。
3. ツボ
後頭部や首の後ろには、後頭部頭痛を和らげる効果のあるツボがあります。
僕の頭痛外来でも、緊張型頭痛の患者さんにはいつもツボ治療を行なっていて、結構喜ばれています^ ^
・天柱(てんちゅう):首の後ろの筋肉の外側で、髪の毛の生え際にあるツボ
・風池(ふうち):天柱ツボのさらに指一本分外側のくぼみにあるツボ
・あ門(あもん):左右の天柱ツボの真ん中にあるくぼみにあるツボ
これらのツボを、(他の誰かに)指でゆっくりと押し上げるようにおしてもらうと、後頭部頭痛はよくなります。
後頭部の頭痛で悩まされている方は、ぜひ一度試してみてください。
4. 薬・湿布
どうしても頭痛がよくならない場合は、痛み止めの薬を飲むしかありません。
市販されている痛み止めの薬でもよいですが、病院を受診すれば緊張型頭痛用の薬や、片頭痛用の薬があるので処方してもらうことができます。
<緊張型頭痛の薬>
・ミオナール®︎・・・筋肉の緊張を和らげる薬
・テルネリン®︎・・・筋肉の緊張を和らげる薬
・デパス®︎・・・「心の緊張」を和らげる薬
<片頭痛の薬>
・イミグラン®︎(第一世代)
・ゾーミッグ®︎(第二世代)
・レルパックス®︎(第二世代)
・マクサルト®︎(第二世代)
・アマージ®︎(第三世代)
また肩こりや首のコリが原因で起こる緊張型頭痛に関しては、首や肩まわりに湿布薬を貼ると頭痛症状が改善する場合があります。
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放っておけない!3つの危険な後頭部頭痛
「後頭部の頭痛って肩こりからくるんだ」
「それなら放っておいても大丈夫だろう」
「仕事も忙しいし、肩こりなんて職業病だから仕方ないかな・・・」
って思われた方、安心しないでください!
後頭部の頭痛の中にも、重篤な脳や首の病気が原因となっている場合があります。
それでは放っておけない!3つの危険な後頭部頭痛を紹介していきます。
1. 脳腫瘍
脳の後ろの方に「脳腫瘍(のうしゅよう)」ができると、後頭部の頭痛を起こすことがあります。
特に脳腫瘍の特徴的な症状として「明け方の頭痛」と「吐き気」にご注意ください。
脳腫瘍は1年間で1万人に1人の割合でしか発症しない非常にマレな病気ですが、気がついた時には手遅れになってしまわないように、早期発見・早期治療を行う必要があります。
2. 脳動脈解離(のうどうみゃくかいり)
脳の血管の壁が突然裂けて頭の中に出血したり、逆に血管がつまって脳梗塞を起こすことのある病気が「脳動脈解離」です。
後頭部の頭痛を起こす脳の血管は次の2つがあります。
・後大脳動脈(こうだいのうどうみゃく) → 後大脳動脈解離
・椎骨動脈(ついこつどうみゃく) → 椎骨動脈解離
いずれの場合も突然の後頭部頭痛を起こすという特徴があります。
脳動脈解離は再出血をする確率が非常に高く、緊急で治療を行う必要があります。
3. 頚椎症(けいついしょう)
「頚椎症」は首の骨の変形によって、神経を圧迫して手足のシビレや脱力感などを起こす病気です。
この頚椎症を起こすと、後頭部の頭痛や首の後ろに痛みを起こすことがあります。
頚椎症がひどくなった場合は要注意です。
転倒して軽いケガをしただけなのに、手足が全く動かなくなってしまう可能性があります。
これは変形した首の骨によって、背骨の中を通る太い神経が損傷する「頚髄損傷(けいずいそんしょう)」を起こすためです。
歳をとるとともに首の骨の変形は強くなってくるので、高齢者の方は特に注意が必要です。
後頭部頭痛のまとめ【医師からのアドバイス】
後頭部の頭痛はほとんどの場合が「緊張型頭痛」によるものなので、原因となる肩こりや首のコリをマッサージなどで解消することが、後頭部頭痛の軽減にもつながります。
しかし後頭部痛の中でも「突然」起きた頭痛や「吐き気」を伴うような頭痛に関しては、危険な脳の病気が原因となっている場合があるので、必ず病院を受診するようにしましょう。
それではまた!