「めまい」は突然襲ってくる恐い病気です。
めまいがひどいと吐き気も強くなり、目を開けることも難しくなります。
今回は、病院で使うめまいの治療薬や、市販されているめまいの薬について解説していきます。
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【目次】
めまいは何科を受診すればいいの?
めまいを起こして治らない時は病院に行くことになりますが、何科を受診すればよいのでしょうか?
ほとんどの患者さんは医学の知識がないので、めまいって何科の病気なのかわからないはずです。
まずはめまいの種類を、わかりやすく大きく2つに分けてみます。
・回転性めまい:グルグル回るめまい
・浮動性めまい:フワフワ浮くようなめまい
たいていのめまいは、このどちらかになると思います。
そしてこの2種類のめまいは、それぞれ原因が異なります。
まず「回転性めまい」ですが、ほとんどの場合は「耳の病気」が原因となります。
したがって、グルグルと回るようなめまいの時は、耳鼻科を受診しなければなりません。
また「浮動性めまい」の原因は「脳の病気」の可能性があります。
めまいだけでなく、次に挙げるような症状があれば、さらに可能性は高くなります。
・顔や手足の麻痺、痺れ感
・呂律が回りにくい(構音障害)
・ものが飲み込みにくい(嚥下機能障害)
これらの症状を伴うめまいの時は、神経内科や脳神経外科など、脳の病気の専門科を受診しなければなりません。
脳幹や小脳に「脳出血」や「脳梗塞」を起こしている可能性があるので、緊急で頭部の検査を行う必要があります。
めまいの治療薬
病院を受診するめまい患者さんの9割以上が、耳の病気が原因の「回転性めまい」です。
めまいだけでなく、吐き気がひどくて嘔吐しながら救急車で搬送されてくる患者さんもいます。
この”耳の病気”が原因で起こる「回転性めまい」の治療薬を紹介していきましょう。
抗めまい薬
めまいの治療薬の中心となるのが、抗めまい薬です。
現在、めまい治療に使われている主な薬は、次の2剤があります。
・メリスロン®︎
・セファドール®︎
※ジェネリック薬品の場合は、名前が異なります。
この2つの薬のどちらかを使用しますが、めまいがあまりにもひどい場合には、2つとも内服していただくこともあります。
副作用は非常に稀ですが、メリスロン®︎で「吐き気」などの消化器症状があり、セファドール®︎は「口渇」や「食思不振」が主な副作用になります。
また他にも、血管拡張作用のある「アデホス®︎」などのATP製剤を使用することもあります。
血管を拡張させて、めまいの原因となる内耳の血流を増やすことで、内耳機能を正常に保つ目的で使われます。
このアデホス®︎ですが、副作用が少ないため、耳鳴りやめまいの再発予防薬として、長期にわたって内服する患者さんもいます。
吐き気止め薬
ひどいめまいを起こして病院を受診する患者さんは、強い吐き気を伴っている場合が多いです。
目を開けると世界中が回っていて、気分が悪くなり開眼できない状態です。
(地球が回っているのとは関係ありません・・・)
めまい患者さんで、抗めまい薬と必ず使うのが、次に挙げる吐き気止めの薬です。
・ナウゼリン®︎:飲み薬
・プリンペラン®︎:飲み薬、注射薬
吐き気が強くて薬を飲み込めない場合は、プリンペラン®︎注射薬を使います。
吐き気止め薬は、めまいの治療では必須の薬なのです。
メイロン®︎(7%炭酸水素ナトリウム)
めまい治療の定番の注射薬がメイロン®︎です。
めまいで病院を受診、または救急搬送された患者さんは、必ずこの注射を受けることになります。
なぜめまいに効果があるのか、正確なことはわかっていないのですが、メイロンを注射すると、血液中の炭酸ガスが増えて血管が拡張し、内耳の血流量を増やすからではないかと考えられています。
副作用としては高ナトリウム血症があります。
心臓や腎臓が悪い患者さんは、体に負担がかかる薬なので注意が必要です。
アタラックスP®︎(ヒドロキシジン塩酸塩)
アタラックスP®︎は抗ヒスタミン作用と嘔吐を抑える作用をもつ注射薬で、点滴の中に入れて投与する薬です。
アキラッチョもよくこの薬をめまい治療に使っています。
今まで何百人もめまい患者さんを診てきましたが(それくらいめまいの患者さんは多いです)、めまいを改善させる効果はアタラックスP®︎が最も優れているのではないかなと、個人的には手応えを感じています。
抗不安薬
抗不安薬は、めまいによる不安や緊張を和らげることで、症状の緩和を図ります。
めまいの時によく使わる抗不安薬をいくつか挙げてみましょう。
・メイラックス®︎
・ソラナックス®️
・デパス®︎
抗不安薬の使い分けについては、少し専門的になるので割愛します。
これらの抗不安薬を内服することで、めまい症状の緩和が期待されます。
その他の薬
ここまでに紹介してきた薬がめまい治療の主役になる薬です。
その他にも、次に挙げるような薬を治療薬として使う場合もあります。
・プレドニン®︎(ステロイド)
・メチコバール®︎(ビタミンB12)
・イソバイド®︎(浸透圧利尿薬)
プレドニン®︎(ステロイド)は炎症を抑える薬ですが、めまいの原因となる「メニーエル病」や「前庭神経炎」に対して、炎症を抑える目的で使用します。
またメチコバール®︎はビタミンB12製剤です。
ビタミンB12は神経を保護したり修復する働きがあるので、めまいの治療薬として使われることがあります。
このメチコバールは水溶性ビタミンなので、体に蓄積しにくいため副作用はほとんどありません。
先ほど紹介したアデホス®︎(ATP製剤)と併せて、めまいの予防薬として内服されている患者さんもいらっしゃいます。
最後にイソバイド®︎ですが、主に「メニエール病」の治療に使われます。
メニエール病は内耳に水が溜まることでめまいを起こすのですが、イソバイド®︎にはその溜まり過ぎた水分を血液の中に引っ張ってきて尿する作用があります。
甘苦い水薬で(かなり)飲みにくい薬ですが、めまいや耳鳴りに効果が期待できる薬です。
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めまいの市販薬は効くの?
現在、めまいの薬はドラッグストアやインターネット上でたくさんの種類のものが市販されています。
市販されている主なめまいの薬を挙げてみましょう。
・アネロン
・ルビーナ
アマゾンとかで簡単に手に入れることができますが、一応”薬”なのでやっぱり購入するときには専門家(医師や薬剤師)の意見を聞きたいですよね・・・。
「めまいの市販薬は効くの?」ってタイトルにしましたが、僕自身飲んだことがないし、まわりにもそんな人がいないので、正直言ってわかりません(汗)
しかし、めまいの市販薬の中でもトラベルミンは効果が期待できます ^ ^
本来は車酔いなどに対する”酔い止めの薬”なのですが、めまいにも効果があって、病院を受診する患者さんにも「もしもの時のために」と、お勧めしています。
めまいを起こしやすい人は、トラベルミンを常備しておいてもよさそうです。
もちろん、薬を飲んでもめまいが全然よくならない場合は、必ず病院を受診するようにしましょう。
まとめ
「めまい」はある日突然、急に襲ってくることがあります。
9割以上の方は、耳の病気が原因となる「回転性めまい」なので、まずは耳鼻科を受診してみてください。
しかし、手足の痺れがあったり、呂律が回らないといったおかしな症状があれば、脳の病気が原因となっている可能性が高いので、緊急で脳神経外科や神経内科を受診しなければなりません。
治療薬も様々なものがありますが、もし市販薬を試してみるのであればトラベルミンが最もお勧めです。
めまいを繰り返す方や、慢性的にめまい感がある方は、脳の検査を一度受けてみましょう ^ ^
それではまた!