こめかみがズキズキと激しく痛くなってきて、吐き気がするような頭痛に悩まされている方は多いと思います。
ほとんどの場合は「片頭痛」なのですが、実はこめかみの頭痛には片頭痛以外の原因が隠れていることがあります。
それでは早速、こめかみの頭痛を起こす原因について解説していきましょう!
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【目次】
こめかみの頭痛を起こす3つの原因
こめかみの頭痛を起こす原因は主に3つあります。
頻度の高いものから順に挙げて解説していきます。
1. 片頭痛
こめかみのところにズキズキと脈を打つような激しい頭痛が起きた時は、ほとんどの場合「片頭痛」を考えます。
吐き気がしてしんどくなり、寝込んでしまう方もいます。
片頭痛の原因や対処法については、詳しく解説している以下の記事を参考にしてみてください。
2. 緊張型頭痛
こめかみがギューっと締めつけられて、重くなるような頭痛を起こした時は「緊張型頭痛」が考えられます。
肩こりや首のコリが原因となり、こめかみだけでなく後頭部にも頭痛が起こります。
緊張型頭痛の原因や対処法については、詳しく解説している以下の記事を参考にしてみてください。
3. 側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん)
こめかみの頭痛を起こす3つ目の原因が「側頭動脈炎」です。
その名前の通り「(浅)側頭動脈」に「炎症」を起こす病気です。
この聞きなれない病気「側頭動脈炎」ですが、実は放っておくと危険な病気の一つなのです。
今回はこの側頭動脈炎のことについて詳しく解説していきます。
側頭動脈炎ってどんな病気?
「側頭動脈炎」はこめかみの皮膚の下を走っている「浅側頭動脈(せんそくとうどうみゃく)」と呼ばれる血管が炎症を起こす病気です。
50歳以上の女性に多い病気で、60〜70歳代が全体の2/3を占めています。
この年代の方で、こめかみのところにズキズキと頭痛がする場合は、側頭動脈炎という病気も考えなければなりません。
側頭動脈炎の特徴的な症状
それでは側頭動脈炎の特徴的な症状を5つ挙げてみます。
・こめかみのところの拍動性頭痛
・微熱
・全身倦怠感
・関節痛や筋肉痛
・体重減少(食欲がなくなる)
これらの症状に加え、こめかみのところにも局所的な症状が出現します。
こめかみのところをよーく見てください。
そして触ってみてください。
こめかみのは次のように変化します。
・血管のところが赤くなって腫れる
・痛みがある
・硬くなったこめかみの血管が触れる
・血管の拍動が弱くなる
これらの症状があれば「側頭動脈炎」の可能性が高くなります。
ここで一つ、側頭動脈炎の危険な合併症の話をします。
側頭動脈炎の患者さんは、こめかみの皮膚の血管(浅側頭動脈)だけでなく、頭の中の血管にも炎症を起こすことがあります。
一番多いのが眼動脈の炎症に伴う「視力障害」で、側頭動脈炎の患者さんの約40%に起こります。
またひどい場合には「失明」することもあり、失明する患者さんは全体の約20%にものぼります。
こめかみの頭痛といっても、側頭動脈炎だと本当に怖いですよね・・・。
それではこの側頭動脈炎はどのように診断して治療するのでしょうか?
検査方法や治療法について解説を続けます。
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側頭動脈炎の検査と治療
側頭動脈炎はまず「疑うこと」から始めなければいけません。
患者さんの立場から考えると、病院の先生に側頭動脈炎を「疑ってもらう」必要があります。
残念ながら、ご自身の専門のことしか頭にない先生も多いので、側頭動脈炎という病気の知識がない先生もいます。
普通に痛み止めの薬を出してもらうだけではマズイです!
まずは痛くなっているこめかみのところを触ってもらうことが必要です。
その上で、次に述べる検査や治療をしてもらうことになります。
側頭動脈炎の検査
血液検査では次の所見があります。
・赤沈の亢進
・CRPの上昇
専門的にはなりますが、これらは「炎症反応」が上昇している証拠になります。
しかし炎症反応が上昇する病気は、世の中にゴマンとあります。
そこで側頭動脈炎を確定するためには、次の検査が必要になります。
・浅側頭動脈の生検(せいけん)
この生検という検査ですがカンタンに説明すると
「こめかみのところに局所麻酔をして、皮膚の下の血管を一部切り取り、血管の組織を顕微鏡で調べる」という検査になります。
この生検による検査で側頭動脈炎と診断されれば、視力を守るためにも緊急で治療を開始しなければなりません。
側頭動脈炎の治療
側頭動脈炎の治療の主役は、炎症を抑える効果のある「ステロイド」という薬になります。
ステロイド治療の有効率は約80%以上になります。
3〜4週間の初期治療を行なった後に、炎症反応などを参考にしながら徐々にステロイドの投薬量を減らしていきます。
視力障害を起こした時はステロイドの量を増やす必要がありますが、ステロイド自体すごく副作用の多い薬なので、いずれにしても専門医による入院治療が必要になります。
こめかみ頭痛のまとめ【医師からのアドバイス】
こめかみの頭痛といえば、まず真っ先に思いつくのが「片頭痛」です。
しかし、このこめかみの頭痛の中には「側頭動脈炎」という最悪の場合「失明」してしまうこともある危険な病気が隠れていることがあります。
たとえ病院を受診したとしても、側頭動脈炎についての正しい知識を持っている先生ばかりではありません。
特に50歳以上の女性の方で、こめかみの頭痛がひどい時は、痛くなっているこめかみのところを必ず触診してもらうようにしましょう!
自分の身は(ある程度)自分で守らなければなりません^ ^
それではまた!