脳出血を予防する!原因は高血圧だけじゃないの?

脳出血、予防

 

脳出血」は脳の細い血管が切れて脳の中に出血を起こす病気ですが、最も多い原因は「高血圧」で脳出血全体の約82%を占めています。

この脳出血を一度起こしてしまうと、手足が動かなくなったり言葉をしゃべることができなくなってしまうこともあるため、予防できるのであればそれに越したことはありません。

脳出血の一番の原因が高血圧なら、脳出血を予防するためには高血圧だけ気をつけておけばよいのでしょうか?

タバコやお酒は脳出血の原因にはならないのでしょうか?

今回は科学的にきちんと立証されている「脳出血の予防法」についてのお話です。

 

スポンサーリンク

 

脳出血の危険因子4つ

まずは「脳卒中」(脳出血脳梗塞くも膜下出血)の危険因子をざっと挙げてみましょう。

 

高血圧

塩分摂取

高コレステロール血症

糖尿病

運動不足

肥満

タバコ

アルコール

緑茶コーヒーなどの嗜好品

野菜果物を食べているかどうか

飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の摂取量

抗血小板薬(血液をサラサラにする薬です)

 

ずらーっと挙げてみましたが、これらが脳血管の病気である「脳卒中」の危険因子になります。

この中でも特に「脳出血」の危険因子として重要なものが4つあるので、それぞれ詳しく解説していきましょう。

 

高血圧

脳出血の一番の危険因子は「高血圧」です。

血圧が高くなればなるほど、脳出血を起こす確率が高くなります。

また同じ脳出血でも血圧が高い方が大きな出血を起こすので、脳出血による死亡率も高くなることがわかっています。

 

脳出血で救急搬送される患者さんの中には、ご自身が高血圧になっていることに気がつかないまま生活をしていたという人も結構います。

「自分は健康だから絶対大丈夫だ!」過信することは危険です。

また若い人でも不摂生をしすぎたり、他の病気が原因となって高血圧を発症することがあるので注意が必要です。

 

脳出血の予防ですが、ズバリ「毎日の血圧測定」から始まります。

患者さんの中には、ご自身の血圧のことが気になりすぎて一日に5回くらい血圧測定をしてノートに記録してきてくれる人もいます。

自分の納得のいく血圧値が出るまで、何度も何度も血圧を測りつつける患者さんもいます(汗)

血圧測定は一日2回で十分なのです。オススメの測定方法を挙げてみます。

 

・朝起きてトイレを済ませた後で、朝食前に1回

・夕食を食べた後で、就寝する前に1回

 

毎日の血圧測定が難しければ、2〜3日に1回くらいでも参考にはなるので記録としては十分です。

脳出血を予防するためにも、ぜひ今日からでも血圧測定を始めてみましょう!

 

高血圧、脳出血

 

アルコール

2つ目の危険因子は「アルコール」です。

先ほどの血圧と同様になりますが、アルコールの摂取量が増えれば増えるほど、脳出血を起こす確率は直線的に増えてきます。

例えば一日に3合以上の日本酒を飲む人は、時々しか日本酒を飲まない人と比べて2.5倍も脳出血を起こすリスクが高くなります。

これはアルコールによる血圧上昇以外にも、血液を固まりにくくしてしまう作用が影響しているためです。

 

余談になりますが、脳の血管がつまって手足が動かなくなったりする病気の「脳梗塞」は、日本酒を毎日1合未満ほど飲む人の方が、時々しか日本酒を飲まない人よりも約4割少ないという意外な研究結果もあります。

(お酒を毎日一合飲む方が、機会飲酒の人より脳梗塞になりにくい!という意味です)

お酒の飲み過ぎが良くないことは言うまでもありませんが、お酒が大好きな人でも日本酒にして一日1合程度に抑えておけば、脳出血の予防だけでなく、脳梗塞を起こしにくくなるということになります。

だからといって、お酒を飲まない人に日本酒を毎日1合飲んだら、脳梗塞にならなくなるぞー!って無理に飲酒を勧めないようにしましょう^ ^

 

お酒、ダイエット

 

タバコ

3つ目の危険因子は「タバコ」です。

タバコを吸う習慣は、心臓血管病のリスクを高める最大の危険因子なのですが、同じように脳卒中のリスクも高くなります。

脳卒中の中でも、特に男性の脳出血発症のリスクを高めることがわかっています。

もう長いことタバコ吸っているし、今さら禁煙しても仕方ないよ・・・って思われる愛煙家の方もいるかと思いますが、まだ諦めてはいけません!

10年以上の禁煙継続で、脳卒中の発症を有意に抑えることができたという研究報告もあります。

 

僕の外来に来られる患者さんの中にも、タバコの吸いすぎで肺気腫になり、酸素ボンベを常に携帯している方が何人かいますが、診察室に入ってくるなり「あー先生、もう何してもしんどいわ。生きてるのがツライわ・・・」と毎回ぼやかれています。

タバコが原因で将来ツライ思いをする前に、禁煙生活の第一歩を踏み出せるといいですね。

 

タバコ、喫煙、禁煙

 

抗血小板薬の2剤併用

4つ目の危険因子は「抗血小板薬の2剤併用」です。

抗血小板薬」とは一言で簡単にいうと「血液をサラサラにする薬」になります。

この抗血小板薬は「脳梗塞」や「心筋梗塞」を起こした患者さんが、病気の再発予防目的で内服する薬ですが、通常であれば1剤のみで治療を行います。

しかし、脳や心臓の血管があまりにも狭くなっていて今にもつまりそうな場合や、血管の中にステントという金具を入れて血管を広げる治療をした患者さんは、強力に抗血小板薬を効かせておかないと血管がつまってしまうため、特別に2剤併用をすることがあります。

 

脳梗塞や心筋梗塞の治療を強力に行うため、血液がサラサラになりすぎて逆に脳出血を起こす危険性が高くなるという状況ですが、脳梗塞脳出血は病態が全く正反対なので、これだけはどうしようもありません

病状的に抗血小板薬を2剤併用しなければならない患者さんは、副作用による脳出血を予防するため、上の血圧が130mmHg以下になるよう厳格な血圧管理を行う必要があります。

 

スポンサーリンク

 

脳出血の再発予防!血圧はどれくらい下げるの?

高血圧が原因で、不運にも脳出血を起こしてしまった患者さんは、再発を予防するために血圧管理を行わなければなりません。

脳出血の再発予防のための血圧目標値は、次のように決められています。

 

脳出血では血圧のコントロール不良例での再発が多く、再発予防のために血圧を140/90mmHg未満に、可能であれば130/80mmHg未満にコントロールするよう勧められる(グレードB)。

引用:「脳卒中治療ガイドライン2015」より

 

これは一見簡単そうな血圧目標値ですが、高血圧をずーーーっと治療していなかった患者さんの血圧は、なかなか下がらないのが現状です。

急に血圧を下げると、フラフラで日常生活を送ることができなくなる患者さんもいるので、数週間から数ヶ月かけてゆっくりと薬で血圧を下げる方が安全です。

またガイドラインにはさらに次の文章が続いています。

 

特にmicrobleeds(マイクロブリーズ)合併例ではより厳格な血圧コントロールを行うことを考慮しても良い(グレードC1)。

引用:「脳卒中治療ガイドライン2015」より

 

microbleeds(マイクロブリーズ)とは「微小な脳出血」のことです。

脳のMRI検査でT2*(ティーツースター)と呼ばれる特殊な撮影方法を行うと、この微小な脳出血を検出することができるのですが、脳出血再発との関連が明らかにされています。

 

CT、MRI

 

ちなみにMRI検査っていろんな種類があります。

T1、T2、DWI、FLAIR、T2*、SWI、BPAS・・・

なにがなんだか、訳わかりませんよね(笑)

 

検査画像の種類を増やせば増やすほど、もちろん検査に時間がかかります。

しかしMRI検査料金は、どれだけ種類を増やしても同じなのです!(裏話ですが)

実際の外来診療で全種類調べる必要は全くないですが、もしアラフォーの僕が歳をとり、脳出血のリスクが高くなってきたらT2*(ティーツースター)だけは無料の替玉みたいに追加検査してもらおうと思います。

(通常の外来検査で、T2*をルーチンで調べる病院はほとんどありません)

 

そしてもし微小出血を見つけてしまったら”より厳格な血圧コントロール”を行おうと思います。

もしMRI検査をする機会がありましたら、ぜひT2*もお願いします」って言ってみてください。

診察してくれる先生は「医療従事者の方ですか?」ってびっくりすると思いますよ(笑)

自分の身は、自分で守りましょう!

 

それではまた!

 

血圧、高血圧