こめかみのところが脈を打つようにズキンズキンと痛くなって吐き気がする頭痛・・・
これがズバリ「片頭痛」です。
片頭痛に悩まされている方は、日本全国で約840万人もいると推定されています。
今回は、この激しいこめかみの頭痛発作を起こす「片頭痛」について解説していきます。
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【目次】
まずは片頭痛の症状を知ろう
脳神経外科の外来をしていると、本当にいろんな患者さんが来られます。
80歳くらいのかわいらしいおばあちゃんが、ニコニコしながら診察室に入ってきて
「先生、わたしゃ片頭痛なんや。どないしたらええやろ?」
うーん、おばあちゃん可愛い!
結局、お孫さんの話をして、畑の話をして・・・
15分くらいお話をしたら「先生と話したら片頭痛治ったわ。ありがとう❤︎」
これ「片頭痛」と違います!(笑)
本当の片頭痛には特徴的な症状と合併症、そして頭痛の前に起こる前兆というものがあります。
それでは片頭痛の特徴的な症状について紹介します。
片頭痛の特徴
・こめかみのところがズキンズキンと脈を打つように痛くなる
・週2回から月1回の頻度で起こる
・痛みがひどくて動けなくなる
・吐き気、嘔吐
・光や音などに過敏になる
これらが典型的な片頭痛の特徴になります。
また片頭痛と言っても片側だけでなく、両側のこめかみのところがズキズキと痛くなるタイプのものもあります。
それって「両頭痛」!?と思われたでしょうか?
正解は「両側の片頭痛」です^ ^
片頭痛の前兆「閃輝暗点」
片頭痛持ちの方は、おそらく見たことがあるはずです。
「えっ、それってUFO?」
「もしかして、死んだおじいちゃんのオバケ??」
「タンスの引き出しの奥に入っている、お母さんのヘソクリ!!」
ではありません^ ^
「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる片頭痛の前兆のことです。
「閃輝暗点」とは、目の前にギザギザとした光やフラッシュのような光が見えて、視野の一部分が見えにくくなる現象のことを言います。
この閃輝暗点は、片頭痛患者さんの約20%くらいに起こります。
閃輝暗点が起こると片頭痛発作の秒読み段階に入ります。
片頭痛の治療のところでも解説しますが、この閃輝暗点が起こった段階で「片頭痛薬」を飲むと、非常に効果があるのです!
片頭痛の原因はこれだ!!
片頭痛が起こるメカニズムですが、頭の血管が急に広がることがきっかけとなり、その血管の周りの「三叉神経(さんさしんけい)」が刺激されて、片頭痛が起こると考えられています。
難しい話は置いといて、片頭痛を起こす原因になるものを5つ紹介します。
1. ストレス
片頭痛は「ストレス」が原因となります。
しかし正確には「ストレスから解放される時」に片頭痛は起こりやすいのです。
例えば緊張と集中を強いられるようなストレスのかかる仕事をしていると、自律神経のうち交感神経の作用によって、頭の血管が収縮します。
このストレスから解放された瞬間、交感神経からの支配から逃れた頭の血管たちは一斉に拡張して、血管のまわりの三叉神経を刺激し始めます。
せっかっくツライ仕事が終わったのに、その直後から片頭痛・・・。
踏んだり蹴ったりって感じですね(涙)
2. 飲酒・食べ物
「やっと仕事から解放されたのに、次は片頭痛かーっ!」
「やってられねーっ!酒でも飲んで治してやる!!」
片頭痛にとって、このノリが一番ダメなパターンです。
実は片頭痛は「飲酒」による血管の拡張作用によって悪化するのです。
特に「ポリフェノール」が多く含まれている赤ワインなどは要注意です。
またおつまみに「チーズ」「チョコレート」を食べる人も多いですが、これらも片頭痛を起こす原因となるので要注意です。
3. 女性の生理
また女性の場合は、生理の始まる1〜2日前から、生理中にかけて片頭痛が起こることが多いです。
これは女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量に関係があるのです。
妊娠してエストロゲンの分泌量が安定したり、閉経してエストロゲン量の変動がなくなると、片頭痛が治ることがあります。
4. 天候や気温の変化
天気が悪くなる前の日に、いつも片頭痛を起こす人がいます。
(僕の母親もそうです)
これは天候や気圧の変化によって、頭の血管が拡張や収縮を起こすことが片頭痛を誘発するからです。
また天気だけでなく、気温や室温の急激な温度変化も、片頭痛の原因となります。
暖かいお風呂から急に寒い脱衣所に出たり、逆に寒いところから急に暖かい家に入ったりする時は、片頭痛を誘発することがあるのでご注意ください。
5. 騒音・まぶしい光
片頭痛はまわりの環境が原因となって起こることがあります。
原因となる主な環境因子を挙げてみます。
・騒音
・まぶしい光
・人ごみ
・強い匂い(香水など)
いかがでしょうか?片頭痛持ちの方は、当てはまるものもあるはずです。
ご自身の片頭痛の原因となるものがわかっている方は、その環境因子を避けることで片頭痛を予防することができます。
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片頭痛治療のススメ
それでは片頭痛が起こった場合はどうすればよいのでしょうか?
ご自身でできる片頭痛の対処法を中心に4つを紹介します。
1. 静かな暗い部屋でやすむ
片頭痛を起こすと、普段であれば全く気にならないような「小さな音」や「光」の刺激によって、頭痛症状がさらにひどくなってしまいます。
したがって、まずは少し暗くて静かな部屋でゆっくりと休んでみてください。
もし可能であれば1時間くらい眠ることができれば、片頭痛はかなり改善します。
2. 冷やす
片頭痛は、頭の血管が拡張して三叉神経を刺激することにより起こると考えられています。
したがって、ズキンズキンと痛むこめかみの部分を冷やしてあげると、その部分の血管が収縮して頭痛症状を改善します。
逆に温めたり、マッサージをして刺激を与えてしまうと片頭痛は悪化する場合もあるのでご注意ください。
3. コーヒー・緑茶などを飲む
コーヒーや緑茶など「カフェイン」を多く含む飲み物を飲むと、頭の血管が収縮して片頭痛発作を和らげてくれます。
またこれらの飲み物は「リラックス効果」も期待できるので、自律神経の興奮を抑えてストレスの緩和にもつながるため、片頭痛には相乗効果を期待することができます。
何度も言いますが、決してお酒を飲むことで、片頭痛を治そうと思わないようにしましょう!
4. 薬を飲む
片頭痛がどうしてもよくならない場合はドラッグストアなどで市販されている鎮痛剤を飲んでみてください。
それでもあまり効果がない場合は、病院を受診してみましょう。
病院で処方できる薬の中には以下に挙げる「片頭痛専用の薬」があります。
・イミグラン®︎(第一世代)
・ゾーミッグ®︎(第二世代)
・レルパックス®︎(第二世代)
・マクサルト®︎(第二世代)
・アマージ®︎(第三世代?)
片頭痛の薬は新しい薬が一番効くという訳ではありません。
実際の外来診療の場でも、新しく発売されたアマージが効かない人に、昔からあるイミグランを処方したら、すごく効果があったということもあります。
また片頭痛の前兆である「閃輝暗点」が見えたらすぐに内服すると、片頭痛の発作を予防することができます。
医師と相談して、ご自身に合った薬を処方していただくようにしましょう!
片頭痛のまとめ【医師からのアドバイス】
こめかみのところがズキズキと拍動するような激しい痛みを起こす片頭痛ですが、原因となるもの(ストレス、お酒、騒音、光など)を避けることで予防することもできます。
片頭痛の対処法としては、静かな暗い部屋で休んだり、痛むところを冷やしたりすることで、頭痛症状の改善が期待できます。
しかし、どうしても片頭痛が治らない場合は、我慢し続けるのではなく早めに病院を受診し、片頭痛専用の薬を飲むことをお勧めします。
ちなみに注射薬や点鼻薬などもありますよ^ ^
それではまた!