仕事でパソコンのモニターを見ていると、頭がガンガン痛くなってきて仕事ができない・・・。
頭痛外来をしていると、こんな患者さんがよく受診されます。
今回は、パソコンやスマホが原因でひどい頭痛に悩まされる「VDT症候群」についてのお話です。
VDT症候群はパソコンを使っている大人だけではなく、スマホで遊んでいる子供さんでも起こることがあるので、知識としてぜひ知っておきましょう ^ ^
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【目次】
VDT症候群とは?
まず「VDT」とは「Visual Display Terminal」の略で、パソコンやスマートフォンなどディスプレイによる表示機器のことを言います。
これらの端末の画面から出る光はブルーライトと呼ばれており、みなさんの目がこのブルーライトに長時間暴露されることによって、目の障害や頭痛などの症状を起こしてしまうのが「VDT症候群」という病気になります。
VDT症候群の特徴的な4つの症状をあげてみましょう。
<VDT症候群の4つの症状>
① 眼精疲労
② 首肩のコリ
③ 頭痛
④ 精神症状
長時間にわたりVDT機器のモニターを見ていると、まばたきの回数が無意識のうちに減ってしまいます。
その結果、ドライアイになってしまい、目の充血・疲れ目・眼精疲労を起こしてしまい、最終的には視力低下など深刻な状態に陥る危険があります。
また首肩のコリだけでなく、キーボードを打ち続けることで、手の指・腕・肩・首にしびれや痛みなどが出現する「キーパンチャー病」という病気を起こす人もいます。
眼精疲労が悪化すると、視力低下だけでなく頭痛も起こします。
VDT症候群で起こる頭痛の特徴は以下の3つになります。
<VDT症候群の頭痛の特徴3つ>
① 目の奥から後頭部にかけてズキズキ痛い
② 頭全体が重い
③ 後頭部やこめかみがギューっとしめつけられるように痛い
ちなみに脳に送られてくる情報の約90%は視覚からの情報であり、その視覚情報の処理のために約50%の脳が使われているため、視覚からの情報が多いほど脳への負担がかかります。
眼精疲労、首肩こり、頭痛だけでなく、最終的には精神的な疲労も蓄積し、精神症状を起こす場合もあります。
食欲の減衰、イライラ感、不安感を感じるようになり、さらに進行してしまうと「抑うつ」状態に陥ってしまい、精神科や心療内科への通院も必要になる患者さんもいます。
VDT症候群の治療法
VDT症候群はパソコンやスマートフォンを使っている人であれば、誰にでも起こる可能性がある恐い病気です。
現代病でもあるVDT症候群の治療は、以下の4つを中心に行います。
<VDT症候群・4つの治療法>
① 目のまわりを冷やす
② 目のまわりを温める
③ 点眼薬
④ 痛み止めの薬
まずは「冷やす」と「温める」についてですが、目の状態によって使い分ける必要があります。
目が充血していて炎症を起こしているような場合は「冷やす」ことで目の疲れをとってあげましょう。
逆に目の充血のない場合は、温めてあげることで眼精疲労やドライアイを改善することができます。
またVDT症候群の治療の中で、最も重要なのがドライアイ解消のための点眼薬になります。
市販されている点眼薬の中では、涙に近い成分の人工涙液の点眼薬(NewマイティアCL-aなど)をお勧めします。
目薬をさしたらまぶたを軽く閉じて、眼球全体が目薬で潤うようにゆっくりと目を動かしてみましょう。
VDT症候群が悪化して、首肩の痛みや頭痛を起こしてしまった場合は、痛み止めの薬や湿布薬による治療が必要になります。
あまりにも頭痛症状がひどい場合は「危険な脳の病気」の可能性も出てくるので、我慢をせずに早めに病院を受診する方が良いかもしれません。
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VDT症候群を予防しよう!
VDT症候群が重篤化してしまうと薬の治療や精神科通院などが必要となり、仕事を続けることができなくなる人もいます。
そのVDT症候群を予防するためには、普段の生活の中で次の2つのことに気をつけておく必要があります。
<VDT症候群予防のポイント2つ>
① こまめに休憩をとる
② 作業環境を整える
VDT症候群を予防するために最も重要なことは「休憩をとる」ことです。
例えば長時間のパソコン作業をする場合であれば、意識的にまばたきをしてドライアイを予防するのも重要ですが、1時間作業をするごとに10分程度の休憩をとることもお勧めします。
休憩の際には作業をしているデスクから離れて、首肩まわりの体操やストレッチを行ったり、窓の外の景色を眺めたりすることで、より質の高い休憩をとることができます。
もう一つは「作業環境を整える」ということですが、具体的にはパソコンのモニターの位置や、作業をする姿勢を整えるということになります。
まずパソコンのモニターの位置ですが、モニター画面の上端が作業をする人の目の位置より少し下になるように、机や椅子の高さを調整します。
その時に、目とモニターの位置が40cm以上になるのが理想です。
そして正しい姿勢で椅子に深く腰をかけて、腰や太ももに負担がかからないようにすることで背中や腰の痛みが起こるのを予防します。
首や肩、両腕に負担がかからないように、肘の角度も楽なポジションをとることができるように調整が必要です。
どんな病気にも当てはまることですが、普段の生活の中で意識的に予防に努めることが一番重要なのです ^ ^
最後に一言・・・
頭痛外来をしていて、いつも思うことがあります。
それは「スマートフォンの長時間の仕様は本当に危険だ!」ということです。
ゲームやネットサーフィンで長時間にわたって小型のモニターを見続けてしまい、ひどい目の疲れや頭痛に悩まされている患者さんを本当によく見ます。
暗い場所でのスマホの使用はもってのほかですが、モニター画面の明るさを下げるとか、意識的にまばたきをしてドライアイを予防することが、スマホによるVDT症候群を予防する上でとても重要です。
スマホの使いすぎには、くれぐれも注意しましょう ^ ^
(アキラッチョも気をつけなければ・・・)
それではまた!
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