頭痛外来をしていると、さまざまな頭痛患者さんを診察することになります。
軽い頭痛やひどい頭痛、そして中にはくも膜下出血を起こしていて、そのまま緊急手術になってしまうような危険な頭痛患者さんもいます。
今回は頭痛外来に来院された患者さんの中でも、ちょっと珍しい頭痛患者さんについて紹介しようと思います。
ほとんどの頭痛は◯◯◯◯が原因で起こるということがよ〜くわかります。
頭痛に悩まされている方も、ぜひ参考にしてみてくださいね ^ ^
それでは、頭痛人生劇場の始まりで〜す!
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【目次】
夏になると決まって頭痛が起こる30歳代のお母さん
まず最初は、夏になると決まって頭痛が起こる30歳代の女性です。
ほとんどの頭痛患者さん(95%以上)は、脳の検査をしても原因となるような病気は見つからないのですが、頭痛には必ず原因があるはずなので、たとえ異常がなくても詳しく色々な話をうかがうことにしています。
その患者さんの背景としては専業主婦をしていて、小学生の子供さんが2人いらっしゃるとのこと。
さては・・・?と思い、次のような質問してみました。
「もしかしたら、子供さんの夏休みに合わせて頭が痛くなるってことはないですか?」
「そういえば、夏休みの間が一番ひどいですね・・・。」
やはりその通りでした。原因はズバリ!「ストレス」です。
夏休みの間は(小学生の子供さんがいる家庭はわかると思いますが)宿題をしない子供を怒り続けなければならないし、もちろん給食もないのでお昼ご飯も毎日考えて作らなければなりません。
そんな毎日を送っていると徐々にストレスがたまってきて、挙げ句の果てには頭痛を引き起こしてしまう場合があります。
旦那さんは仕事が忙しいことを理由に、子供や家庭のことを奥さん一人に任せっきりとのこと。
一番の原因は、子供たちではなく家のことを放ったらかしにしている旦那さんなんですよね・・・。
せっかくの休日なのに必ず頭痛に襲われる看護師さん
次は、せっかくの休日なのに必ず頭痛に襲われてしまう看護師さんです。
病棟で仕事をしている時に、隣の電子カルテの席に座ってきた看護師さんが次のように話しかけてきました。
「アキラッチョ先生、私ね、看護師の仕事を始めてからひどい頭痛がするようになったんです。これってストレスですかね・・・?」
看護師さんの仕事の内容は本当に激務で、しかも人間の生体リズムを完全に無視した勤務時間で仕事をこなさなければなりません。
中にはストレスが原因で頭痛などの体調不良を起こす人も結構多いです。
その看護師さんは、こちらの返答を待つことなく話を一方的に続けました。
「それがね、いつも休みの日に頭痛が起こるんです。せっかくの休みなのにね・・・。」
実はこれ、「休日頭痛」とか「週末頭痛」と呼ばれているタイプの頭痛で、待ちに待った休みの日に限ってひどい頭痛に襲われるという、本当に迷惑な頭痛です。
普段とても忙しい人が、休日になってリラックスすると頭の血管もリラックスして拡がってしまい、それが原因で頭痛が起きてしまうというものです。
「忙しくても、自分の体と心がリラックスできる環境を毎日作ることが一番の予防法になりますよ」とアドバイスしてあげたのですが、「そんな暇ないですよ!」って、なぜか怒られてしまいました(笑)
(いや、笑えないな・・・ごめんなさい・・・)
※ 週末・休日頭痛の詳しい話は → こちらの記事へ
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余生をのんびり過ごそうと思ったのに…毎日ひどい頭痛がするようになった60歳代女性の頭痛の原因は?
最後は60歳代の女性です。
身の回りのことが色々と片付いたので、これからの余生をのんびり過ごそうと思った矢先に、毎日ひどい頭痛がするようになったということで頭痛外来を受診されました。
ちなみにそれまでの人生は、頭痛と全くの無縁の生活を送っていたとのことです。
アキラッチョの頭痛外来では、念のために脳の検査を必ずするようにしているのですが、やはりその患者さんの脳には頭痛の原因となるような異常は見つかりませんでした。
しかし、頭痛というのは必ず原因があるはずなので、いつも通り根ほり葉ほり詳しく話を聞いてみました。
「最近、生活環境が大きく変わったってことはないですか?」
「そうですね〜、そんなに大きく変わったことはないと思いますが・・・」
普通の忙しい脳神経外科医(?)なら、とりあえず頭痛薬を処方しておいて、それでも頭痛がするようなら違う病院を受診してください(要するに頭痛の患者さんにかまっている暇がないくらい忙しい)と言ってしまうところですが、Dr.アキラッチョは「頭痛には必ず原因がある」という信念を持って診察している(=「暇」ってことじゃないよ)ので、些細なことでもいいから思い出してほしいということをお伝えしたところ、その患者さんは次のように答えてくれました。
「少しでも変わったところですか・・・まあ、夫が定年退職をして家に帰ってきたことくらいですかね?」
よくよく聞いてみれば、10年以上も単身赴任をしていた夫が、定年退職をして自宅に戻ってきたとのことです。
そして、その帰ってきたタイミングと頭痛が始まった時期がちょうど同じくらいだったのです。
ここまでくれば、もう原因はわかりましたよね?(笑)
10年ぶりに旦那さんと一緒に生活をするようになって、とにかく生活スタイルが違いすぎることで、多大なるストレスを毎日受けているようでした。
何もせずにゴロゴロしている旦那さんの姿を見るだけでイライラするとも話されていました。
その旦那さんは、ある会社で出世街道を登っていったエリートサラリーマンとのことですが、その立派なキャリアに裏側では家事育児をすべて奥さんに丸投げしていたという実績も相当なレベルで積み上げてきたようです。
以前の記事で「男のロマン。女の我慢(ガマン)」という言葉を紹介したことがありますが、結局のところ、奥さんの完全サポートがなければ仕事に集中することなんて絶対にできません。
そのことを理解せずに、ただただ仕事だけしている世の男性の方は、最終的には奥さんの頭痛の原因にしかならない・・・という残念な結末が待っているかもしれません。
脳神経外科治療の最前線から退いて、家事育児にも精一杯取り組んでいるアキラッチョから最後に一言だけアドバイスをさせていただきます。
仕事だけしかしていない人間が、実はこの世の中で一番ラクな生き方をしているんだぞ!(ってことを、ちょっとくらいは自覚しましょう ^ ^)
それではまた!