頭痛

【脳の検査】CTとMRIの違いが知りたい!

CT、MRI、脳出血、脳梗塞

ひどい頭痛で病院を受診した時には、脳の検査を受ける場合があります。

受診した当日にCT検査を受ける時もあれば、日を改めてMRI検査を予約される場合もあります。

同じ頭の検査のように思えますが、この違いは何なのでしょうか?

今回は脳の画像検査「CT」と「MRI」の違いや、ターゲットになる脳の病気について解説していきます。

(患者さんにもよく聞かれるので・・・)

 

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【目次】

CTとMRIの違いは?

まずCTとMRIってズバリ何が違うのでしょうか?

どちらの検査も大きなトンネルみたいな装置に入って、脳の輪切りの写真を撮影して病気を調べるという意味では同じように思えますが、その原理は全く異なります。

 

それぞれの検査の原理ですが、すごく簡単に説明してみると次にようになります。

 

CT・・・X線(レントゲン)を頭に通して検査する

MRI・・・巨大な磁石の中で、頭の中の磁気を調べる

 

ということになります。ちょっと分かりにくいですよね?

少し言い方を変えてみます。

 

・CT・・・放射線で被曝する

・MRI・・・磁石なので放射線で被曝しない

 

こう言うと非常に分かりやすいですよね?

それならMRIの方が精密検査っぽいし、放射線にも被曝しないのなら、絶対にMRIの方がいいじゃないか?って思いますよね。

 

僕の外来に頭痛で来られた患者さんの中には、診察室に入ってくるなりこう言われる方がいます。

 

患者さん:「先生、頭痛いからMRIしてほしいんや。MRIの方がええんやろ?」

 

アキラッチョ:「・・・と、とりあえずお話をまず聞かせてくださいね(汗)」

 

患者さん:「MRIは今日できるんかな?」

 

アキラッチョ:「よ、予約の検査なので、すぐには無理です。とりあえずお話を・・・(汗)」

 

でも実際は、MRIの方が絶対に優れているということはありません。

CTの方が断然優れている場合も多いです。

 

それでは、脳の検査をする時のCTとMRIのメリット・デメリットを順番に解説していきましょう。

 

 

脳CT検査

頭痛で病院を受診し、念のため頭の検査をすることになったとしましょう。

この時の検査は、ほとんどの場合がCTになります。

CTは検査時間が約5分程度と短いため、緊急で検査をする場合でも予約検査に横入りが簡単にできます。(検査技師さんは大変ですが・・・)

 

CTのメリットとデメリットは以下のようになります。

 

<CTのメリット>

・検査時間が短い(約5分)

の画像診断に有効

広い範囲で検査をすることができる(頭から足先まで一気に!)

 

<CTのデメリット>

・放射線に被曝する

・病変と正常組織のコントラストがMRIに劣る

・血管を調べるためには造影剤が必要

 

このメリット・デメリットを踏まえて、僕たち脳神経外科医がどんな時にCT検査を選択しているかを3つ挙げてみましょう。

 

・緊急性のある脳の病気(脳出血くも膜下出血

頭部外傷(頭蓋骨の骨折

検査をしないと納得してくれない患者さん

 

こんな感じになります。

くも膜下出血と診断した時は、そのまま造影剤を使って脳の血管破裂したコブ脳動脈瘤)を調べる造影CT検査を行います。

 

ちなみにCTの検査料金は機械の性能にもよるのですが、3割負担で3,390円〜4,770円になります。

でも頭痛があるからといって、なんでもかんでもCT検査というのもよくないですよね。

 

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脳MRI検査

次はMRI検査のメリット・デメリットを挙げてみましょう。

 

<MRIのメリット>

・病変と正常組織のコントラストが優れている(わかりやすい)

・放射線で被曝しない

・造影剤を使わなくても脳の血管を調べることができる(MRA検査)

 

<MRIのデメリット>

・検査時間が長い(約30分前後)

・一度の検査できる範囲が狭い

・心臓のペースメーカーなど金属が体の中にある人は(原則)検査できない

・トンネルが狭すぎるため、閉所恐怖症の人はMRI検査が難しい

 

ということになります。

検査時間が約30分前後と長いため、すぐにMRI検査をすることは通常の場合は困難です。

(例えるなら、USJの人気アトラクションの行列に横入りする感じです・・・)

 

しかし僕たち脳神経外科医が緊急でMRI検査をする時があります。

それは「脳梗塞」の患者さんが救急車で来た場合になります。

 

脳梗塞は、発症から4.5時間以内であれば、脳の血管につまった血栓を溶かして治療することができます。

ですから、脳梗塞の患者さんを助ける時は超緊急モードになります。

急げば急ぐほど、治療の選択肢は増えて、患者さんが助かる可能性が高くなります。

 

USJ人気アトラクションの行列に例えるなら・・・

長蛇の行列の一番先頭のところに、何も言わずに思いっきり横入りする!

といった感じです。(許してください)

 

ちなみにMRIをした時の検査料金は、こちらもMRIの性能によって金額が変わるのですが、3割負担で4,410円〜6570円になります。

結構な金額なので、受付窓口で支払いする時にびっくりされる患者さんもいます。ご注意ください^ ^

 

脳の検査はCTとMRIのどっちがいいの?

さて、脳の検査はCTとMRIのどっちがいいのでしょうか?

それぞれメリット・デメリットがあり、どちらもなくてはならない検査なのですが、病気によって使い分けるとしたら

 

<CT>

頭部外傷

脳出血

くも膜下出血

 

<MRI>

脳梗塞

脳腫瘍(造影MRI)

 

となります。

 

CTは「出血」系の病気に強い検査になります。

頭部外傷の場合であれば、頭だけでなく全身の大ケガをしている場合が多いので、短時間で全身を広く調べることができるCTの方が圧倒的に力を発揮します。

 

一方MRIは「脳梗塞」や「脳腫瘍」を診断するために力を発揮します。

CTでわからない急性期の脳梗塞の診断・治療にはなくてはならない検査になります。

 

ここで実際の患者さんを例にとって、CTとMRIの違いを紹介します。

ある日、86歳の女性が左半身麻痺を起こして救急搬送されて来ました。

こちらが来院時のCT検査です。

 

脳梗塞、CT

 

一見何も悪そうではありませんが、この患者さんは完全に左半身麻痺を起こしていたのです。

CTではわからない異常も、このCTの直後に撮影したMRIでははっきりとした脳梗塞が認められます。

 

脳梗塞、MRI

 

向かって左側(すなわち脳の右半球)が白くなっています。

この白くなっている部分が脳梗塞を起こして、脳細胞が死んでしまおうとしているところになります。

CT画像と比べて、すごい違いがあるってことがわかりますよね?

 

MRIは「脳梗塞」の時に最も力を発揮してくれて、これまで何人もの患者さんをMRIのおかげで助けることができました。

ですので、もしMRIの検査を予約していたのに「救急の患者さんが来て、検査が1時間くらい遅れます!」と言われるようなことがあっても・・・許してあげてくださいね^ ^

 

それではまた!

 

医師、看護師、患者さん

 

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