脳の病気が原因となる”危険”なめまい…この症状を見逃すな!

めまい

 

めまいには「回転性めまい」や「浮動性めまい」といったように、様々なタイプのものがあります。

同じめまいでも、患者さんによってはめまいの「感じ方」や「表現の仕方」が異なります。

めまいの多くは、耳の病気が原因で起こるので、命に関わるようなことはありません。

しかし中には、脳の病気が原因となる”危険”なめまいを起こして病院を受診する患者さんもいます。

今回は、脳の病気が原因となる”危険”なめまいについて、見逃してはならない症状や、実際の患者さんの話をしていきます。

 

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めまいで発症する”脳の病気”は、こんな症状がある!

まずはめまいを起こす”危険”な脳の病気を挙げてみましょう。

 

脳梗塞

脳出血

椎骨脳底動脈循環不全

 (ついこつのうていどうみゃくじゅんかんふぜん)

聴神経腫瘍

 

小脳脳幹など、体のバランスを保つ機能をつかさどる部分に「脳梗塞」や「脳出血」を起こしてしまうと、フワフワするような浮動性のめまいを起こします。

 

また「椎骨脳底動脈循環不全」は、小脳や脳幹を栄養する血管(椎骨動脈・脳底動脈)が動脈硬化で狭くなって血流不全を起こすことで、めまいを起こします。

この椎骨脳底動脈循環不全は、小脳梗塞や脳幹梗塞の”前兆の可能性もあるので注意が必要です。

 

体のバランスを保つための情報は、内耳から聴神経を経由して脳幹へ伝えられますが、この聴神経に腫瘍ができる病気が「聴神経腫瘍」です。

聴神経腫瘍は、難聴やめまいで発症しますが、腫瘍サイズが大きくなると顔面神経を圧迫して顔の麻痺症状が出たり、小脳や脳幹まで圧迫されると立位や歩行時のふらつきがひどくなります。

 

これらの”めまいを起こす脳の病気”は、もし見逃してしまうと命に関わる危険性があります。

フワフワするような「浮動性めまい」という特徴がありますが、それ以外にも次に挙げるような症状を伴う場合が多いです。

 

手足の麻痺痺れ

呂律が回りにくい(構音障害)

ものが飲み込みにくい(嚥下機能障害)

 

これらの症状は”危険”なめまいを見つける上で、非常に重要な症状になります。

めまいを起こした患者さんで、手足の動きがおかしいとか、呂律が回りにくいなどの症状があれば、脳の病気の可能性を考えて緊急で検査を行う必要があります

特に小脳や脳幹に起こる「脳梗塞」や「脳出血」は、命に関わる場合もあるので注意が必要です。

 

めまい

 

めまいで発症した”脳幹梗塞”の患者さん

それでは実際のめまい患者さんの話に入りましょう。

一人目は80歳代の男性患者さんです。

 

夕方頃になって突然ひどい”めまい”と”吐き気”が出現したため、119番で救急車を要請されました。

めまいがひどく、救急車内で数回嘔吐されたようです。

救急対応した内科の先生は、念のためMRI検査をしました。

明らかな脳梗塞や脳出血などの異常がなかったため、当初は点滴治療を行った上で自宅に帰っていただく方針だったようです。

 

脳底動脈閉塞、脳幹梗塞

 

確かにMRI検査では、明らかな脳梗塞はなかったのですが、実は脳の血管を調べるMRA検査では、脳底動脈という大切な血管がつまっていたのです。

患者さんの家族の方が「普段よりも喋り方がおかしい」ということを指摘し、入院を強く希望されたので、救急対応に当たった先生は「そこまで言われるなら・・・」という感じで念のために入院させたようです。

 

そして翌朝になると、右の手足の動きがかなり悪くなっていたのです。

慌ててMRIの再検査を行うと、救急搬送時になかった脳幹梗塞が出現していました。

 

脳底動脈閉塞、脳幹梗塞

 

MRAでは脳底動脈だけでなく、それよりも上流の椎骨動脈までつまってしまっていたのです。

すぐに脳神経外科に相談がきました。

大急ぎで点滴治療を開始し、その後リハビリテーションを行ったところ、幸い右手足の動きは自宅で生活できるレベルまで回復しました。

 

夜間や休日に救急対応してくれる病院の先生は、脳の病気が専門でない場合が多いです。

しかも初めて会う患者さんなので、普段はどんな喋り方をしているか?とか、どんな歩き方をしているのか?などわからないため、軽微な異常には気がつきにくいのです。

この患者さんも「普段よりも喋り方がおかしい」という家族の方の指摘がなく、入院を強く希望されなければ、普通のめまいと診断されて、もっと病状が悪くなっていたかもしれません。

 

脳幹梗塞を起こした患者さんは、完全に手足が動かなくなったりモノを飲み込むことができなくなったりする方もいます。

ひどい脳幹梗塞の場合は、亡くなってしまう患者さんもいます。

この患者さんは、まさに危機一髪で助かった患者さんでした。

 

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めまいで発症した”小脳梗塞”の患者さん

二人目の患者さんも危機一髪の患者さんです。

夕食後に突然の”めまい”と”嘔吐”をきたした70歳代の女性で、救急車で搬送されてきました。

来院時の意識ははっきりとしており、手足の痺れや呂律が回りにくいなどといった症状は認められませんでした。

来院時のCT検査では、特に異常に気がつかれなかったようです。

 

小脳梗塞、CT

 

救急対応をした若手の先生は「一過性のめまい」と診断し、飲み薬で経過観察としました。

患者さんはその日のうちに帰宅されたのですが、めまい症状が改善せず体が傾くようになってきたということで、脳神経外科の外来を受診されたのです。

これはおかしいということで、緊急でMRI検査をしたところ、右小脳梗塞を認めたのでした。

 

小脳梗塞、上小脳動脈閉塞

 

救急搬送された時のCTでも、脳神経外科が見れば微妙な変化に気がつくのですが、この小脳梗塞をCTで見つけるのは、専門医でなければ至難の技です。

MRAでは、この領域の小脳梗塞を起こす「上小脳動脈」がつまっていることがわかりました。

 

小脳梗塞、上小脳動脈閉塞

 

この患者さんも緊急で入院していただき、脳梗塞の治療を開始しました。

手足の麻痺などの神経症状の悪化はなく、幸い後遺症なく自宅退院することができました。

 

小脳梗塞の患者さんも、治療の開始が遅れると命に関わるような場合があります

呼吸が止まって人工呼吸器が必要になったり、救命目的の緊急手術が必要になる患者さんもいます。

この患者さんも、まさに危機一髪で助かりました。

 

まとめ

今回は、脳の病気が原因となる”危険”なめまいについて解説してきました。

記事のタイトルは「この症状を見逃すな!」と書きましたが、実際に見逃しちゃいけないのは僕たち医師の方です。

 

めまいで病院を受診する患者さんは、実は非常に多いです。

普通に外来受診される患者さんもいれば、めまいがひどくて救急搬送されてくる患者さんもいます。

このめまい患者さんの多くは、一時的な耳の障害による”治るめまい”です。

医師側がめまい患者さんを診察し慣れてしまうと、今回紹介した2人の患者さんのように”危険”な脳の病気を見落としてしまうケースが出てきます。

復習になりますが、次の3つの症状には特に注意が必要です。

 

手足の麻痺痺れ

呂律が回りにくい構音障害

ものが飲み込みにくい嚥下機能障害

 

めまい以外にこれら3つの症状のどれかがあれば、脳の病気が原因となっている可能性が高くなります。

めまいを起こす脳の病気は命に関わる場合が多いです。

いつもと様子が違っておかしいなと思う場合は、必ずMRIなど脳の精密検査を受けるようにしましょう ^ ^

 

それではまた!

 

めまい