自分の命をかけて「やりたいこと」をやった脳腫瘍患者さんの話

不良牧師アーサーホーランド名言

「Not Must  But Want(やらなくては…では無く、やりたい)」

 やらなくてはよりも

 やりたいからやる

アーサー・ホーランド 『WALK ACROSS』より

 

生きていると、やりたくなくても、やらなければならないことってたくさんあります

僕自身「やりたくないこと」って何だったんだろうなあ?と、過去の自分の人生を思い返してみました。

 

普通の家庭に生まれ育ち、子供の頃は勉強しろと言われたこともなく、野山の中で自由に遊びまわっていました。

学校や友達のことも大好きで、宿題なんかも「やりたくない」って思ったことすらありません。

大学受験に何度か失敗しましたが、浪人して勉強することも「やりたくない」とは思いませんでした。

医師になり、まともな休みもなく働き続けていた時も、正直しんどい時はありましたが、上司や仲間の先生達と一緒に楽しく仕事をしてきました。

医師という仕事も「やりたくない」と思ったことは一度もありません。

 

はたから見れば、順風満帆な人生のようですが、何か僕の中ではスッキリしない違和感を感じていたのです。

そして、過去の人生で「やりたくないこと」を思い出しているうちに、ふと気がつきました。

 

「やりたくないこと」はなかったけど、「やりたいこと」もなかったんじゃないのかな?

 

読書

 

本当にやりたくて、学校の宿題をしていたのだろうか。

本当にやりたくて、水泳やラグビーをしていたのだろうか?

本当にやりたくて、医師という仕事をしていたのだろうか?

考えれば考えるほど、僕は本当に「やりたいこと」をやってきたのか、わからなくなりました。

 

自分の心に嘘をついていなかったか?

もっと「やりたいこと」があったんじゃないのか?

考えれば考えるほど、僕は自分を偽っていたんじゃないのか?と、混乱してきました。

 

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以前勤めていた病院に、僕と同い年で脳腫瘍を患った男性患者さんがいました。

頭蓋骨に浸潤する脳腫瘍のため、手術をしても再発を繰り返す恐ろしいタイプの脳腫瘍です。

最初の手術を行い、一年後に再発。

そして再手術。さらに再発し再手術・・・。

 

全ての手術を同い年である僕が執刀医として行ってきましたが、手術を重ねるたびに彼の体力は徐々に弱っていきました。

最終的には脳腫瘍が頭の皮膚を溶かし、そして脳の中に感染を起こしたために嚥下障害(飲み込みが悪くなる症状)を起こし、口から食事を食べる事ができなくなってしまいました。

僕と同い年の彼は、鼻からチューブを入れて、流動食の生活になってしまったのです。

彼は「やりたくない」流動食での生活を受け入れるしかありませんでした。

 

セカンドオピニオン、脳動脈瘤

 

でも・・・最終的に彼は亡くなったのです。

自分の車の中で、コンビニ弁当を喉につまらせて・・・

死因は”窒息死”でした。

 

その連絡を受け、僕はとてもショックを受けました。

あれだけ大きな脳の手術を何度も頑張ってきたのに、最後は「口からご飯を食べない」という約束を守れず、ご飯を喉につまらせてしまって・・・。

車の中でたった一人・・・苦しかっただろうなあ・・・。

 

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彼の窒息死の悲報から、早くも2年の月日が流れました。

今でも彼のことは思い出しますが、アーサー・ホーランドの言葉「Not Must But Want」に出会い、僕の中で彼に対する思いが変わりました。

彼は人生の最後に本当に「やりたいこと」ができたんじゃないのかな、と。

 

口からご飯を食べるという「誰でも普通にできる事」が、脳腫瘍のせいでできなくなってしまった彼は、最後の最後に自分の口からご飯を食べました。

彼は自分の命をかけて「やりたいこと」をやったのです

 

当時は同い年だった僕ですが、今では彼より2才も歳をとってしまいました。

のんびりした生活を送っていますが、自分が本当に「やりたいこと」をやってるのかな?と、わからなくなることもあります。

僕の人生なんて、まだまだ手探り状態です。

でも、もし本当に「やりたいこと」が見つかったら、今度の今度こそは自分のわがままを押し通してでも「やりたいからやるんだ!」と、世界に向かって叫んでやろうと思います

 

医師、アキラッチョ

それではまた!

 

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