「脳神経外科の手術が日本で一番うまい先生はだれ?」と聞かれたら、迷いなく「札幌禎心会病院の谷川緑野(たにかわろくや)先生」の名前を挙げる思います。
谷川緑野先生とはご縁があり、たった一年という短い期間でしたが北海道で脳神経外科手術をみっちり学ばせていただきました。
今回は、世界も注目する日本一の脳神経外科医・谷川緑野先生の”一流たるもの”としての心構えについて、僕が手術室でいつも聞いていた数々の名言を紹介しようと思います。
脳神経外科の先生にとっては、永久保存版の貴重な名言集だと思いますよ〜 ^ ^
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日本一の脳神経外科医!谷川緑野先生の”一流たるもの”としての心構え【名言集】
谷川緑野先生は、今や”生きる伝説”(2018年5月現在)とも言われている脳神経外科医・上山博康先生の一番弟子にあたる先生です。
上山先生はテレビ番組「主治医が見つかる診療所」にも出演されている超有名な先生ですが、その先生が「オレの弟子の中で一番は谷川だべ」と言われるくらい、谷川緑野先生は手術が本当に上手です。
僕がまだ若かりし頃(まだ若いけど・・・)、谷川先生の下で一年間という短い期間でしたが脳外科手術の修行をしました。
手術テクニックだけでなく、一流の術者としての心構えをたくさん学ばせて頂いたと感謝しています。
その谷川緑野先生が、手術室やカンファレンス中に何気なく言われた至極の名言を紹介していこうと思います。
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人の心の「善」「悪」というものは50:50で存在する。
これが51:49で「善」に傾いたり、逆に「悪」に傾いたりもする。
でもそこには”2”という大きな差があるんだよ。
この言葉は、脳動脈瘤のクリッピング手術の最中にボソッと言われた名言です。
脳動脈瘤をクリップするためには、顕微鏡で覗いた超ミクロの世界で、脳を傷つけないよう丁寧に手術しなければなりません。
その時に目の前に立ちはだかる一番の障壁が”静脈(じょうみゃく)”という血管です。
普通の脳神経外科医であれば「まあこれくらいの細い静脈なら、切っても大丈夫だろう」っていうレベルの細い静脈でも、谷川先生は全く傷つける事なく温存し、出血一つない非常にきれいな術野を作ることができます。
「まあこれくらいなら・・・」という「悪」の気持ちが51になり、「どんな細い静脈でも絶対に温存しなければ!」という「善」の気持ちが49になってしまうと、そこには”2”というとてつもなく大きな差が生まれてしまい、思わぬ手術の合併症を引き起こしてしまう可能性があるということです。
本物の一流の脳神経外科医って、いつもこんな心構えで手術をしているんだ!と、めちゃくちゃ感動した記憶があります。
僕のまどろっこしい解説はこれくらいにして、谷川緑野先生がボソっと言われた(笑)至極の名言をどんどん紹介していきましょう!
オレはfor the patientで脳外科やってるんだ。for the staffでやってる連中とは、コンセプトが最初っから違う。
時々、お医者さんになろうと思った時の気持ちを思い出さないとダメ。
患者に対する究極の思いやりがオペ(手術)なんだ。
最終的には自分の心が試されるんだよ。
命を妥協することはできない!
言語化することが重要なんだ。
できない理由を探すのが素人。
どうすればできるかを考えるのがプロだ。
あたりまえの事を、あたりまえのようにする事が一番難しいんだ。
身の丈にあったことしかできないよ。オペが速いか遅いかは単なる結果に過ぎないんだ。
オペをうまくやるかどうかではなくて、何が起こっても最後までやり抜く気持ちがあるかどうかが重要なんだ。
オペ中は、常に自分の心が試されている。
手術は気合いでやるものだ。手先が器用かどうかなんて関係ない。泣きながらでもバイパスをつなぐかどうかなんだ。
簡単に得られるものには価値がない。手術も同じ。
迷ったら、つらい方の道を選ぶ。
急がば回れ。
いかがでしょうか?
どの言葉も脳神経外科医であれば、絶対に「心が揺さぶられる」はずです。
逆に何も感じなければ、その脳神経外科の先生の手術は受けない方がいいと思います ^ ^
北海道での修行時代、谷川緑野先生には厳しく手術の指導を受けただけでなく、「ブラック」の愛称でとても可愛がっていただきました。
なぜ「ブラック」なのかと言うと、僕が「腹黒い」から(?)だそうです。
全く身に覚えがないのですが(笑)、今となっては本当に懐かしい思い出です。
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最後になりましたが、もう一つだけ紹介しておきたい”とっておき”の名言があります。
いつもクールで、見方によってはめちゃくちゃ怖くて、ちょっと近寄りがたい雰囲気もある谷川緑野先生ですが、実はジョークが大好きで弟子思いの素敵な先生です。
この”とっておき”の名言は、ある難しい「くも膜下出血」の手術が終盤にかかった時に、いつも通りボソっと言われた言葉です。
オレがSAH(くも膜下出血)になったら君たちに手術をお願いするよ。
その手術で、たとえ手足の麻痺が残っても、オレは文句は言わない。
弟子たちがしたことは、オレの責任だから。自業自得だ。
連日連夜の手術で、僕を含めた弟子の先生たちは寝不足と疲労でフラフラでしたが、谷川先生のこの言葉で一気に目が覚めました。
「弟子たちのしたことはオレの責任」そして「自業自得」とも。
この言葉は逆に、僕たち弟子のことを心の底から信頼してくれているんだと、僕には思えました。
僕は脳神経外科手術をセミリタイアし、現在スローライフを送っていますが、当時一緒に働いていて今現在も谷川先生の下で働いている野田先生や太田先生の手術の腕前は、客観的に見ても超一流です。
「弟子たちのすることは、オレの誇りなんだ」
もう少ししたら、こんな言葉を言ってくれるかもしれませんね ^ ^
というわけで脳の病気になったら札幌禎心会病院 へ、そして今回の記事とあわせてゴッドハンド手術の話 や匠の手・上山博康先生の名言集 も読んでいただければ幸いです。
くれぐれも脳の病気にならないよう、アキラッチョ(通称「ブラック」)のように、健康で幸せなスローライフを送りましょう。
それではまた!